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12月02日-03号

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  1. 大分県議会 2020-12-02
    12月02日-03号


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    令和 2年 第4回定例会(12月)     令和2年第4回大分県議会定例会会議録(第3号)令和2年12月2日(水曜日)  -------------------------------議事日程第3号            令和2年12月2日              午前10時開議第1 第96号議案から第110号議案まで   (議題、決算特別委員長の報告、質疑、討論、採決)第2 一般質問及び質疑  -------------------------------本日の会議に付した案件日程第1 第96号議案から第110号議案まで     (議題、決算特別委員長の報告、質疑、討論、採決)日程第2 一般質問及び質疑  -------------------------------出席議員 42名  議長        麻生栄作  副議長       嶋 幸一            志村 学            井上伸史            清田哲也            今吉次郎            阿部長夫            太田正美            後藤慎太郎            衛藤博昭            森 誠一            大友栄二            井上明夫            鴛海 豊            木付親次            三浦正臣            古手川正治            土居昌弘            元吉俊博            御手洗吉生            阿部英仁            成迫健児            浦野英樹            高橋 肇            木田 昇            羽野武男            二ノ宮健治            守永信幸            藤田正道            原田孝司            小嶋秀行            馬場 林            尾島保彦            玉田輝義            平岩純子            吉村哲彦            戸高賢史            河野成司            猿渡久子            堤 栄三            荒金信生            末宗秀雄欠席議員 なし欠員   1名  -------------------------------出席した県側関係者  知事        広瀬勝貞  副知事       尾野賢治  副知事       黒田秀郎  教育長       工藤利明  代表監査委員    首藤博文  総務部長      和田雅晴  企画振興部長    高屋 博  企業局長      工藤正俊  病院局長      田代英哉  警察本部長     竹迫宜哉  福祉保健部長    廣瀬高博  生活環境部長    高橋基典  商工観光労働部長  高濱 航  農林水産部長    大友進一  土木建築部長    湯地三子弘  会計管理者兼会計管理局長            森山成夫  防災局長      梶原文男  観光局長      秋月久美  人事委員会事務局長 藤原隆司  労働委員会事務局長 森 優子  -------------------------------     午前10時 開議 ○麻生栄作議長 皆様おはようございます。これより本日の会議を開きます。  -------------------------------麻生栄作議長 本日の議事は、お手元に配付の議事日程第3号により行います。  ------------------------------- △日程第1 第96号議案から第110号議案まで(議題、決算特別委員長の報告、質疑、討論、採決) ○麻生栄作議長 日程第1、第96号議案から第110号議案までの各決算議案を一括議題とし、これより委員長の報告を求めます。決算特別委員長土居昌弘君。  〔土居議員登壇〕 ◆土居昌弘決算特別委員長 皆様おはようございます。決算特別委員会の審査の経過と結果について御報告します。 本委員会で審査した案件は、第3回定例会で付託を受けた第第96号議案令和元年度大分県病院事業会計決算の認定について、第97号議案令和元年度大分県電気事業会計利益の処分及び決算の認定について、第98号議案令和元年度大分県工業用水道事業会計利益の処分及び決算の認定について、第99号議案令和元年度大分県一般会計歳入歳出決算の認定について及び第100号議案から第110号議案までの令和元年度各特別会計歳入歳出決算の認定についての15件です。 委員会は、10月6日から11月5日までの間に7回開催し、会計管理者及び監査委員並びに部局長ほか関係者の出席、説明を求め、予算の執行が適正かつ効果的に行われたか、また、その結果、どのような事業効果がもたらされたかなどについて慎重に審査しました。 その結果、各般の事務事業的等は議決の趣旨に沿っておおむね適正な執行が行われており、総じて順調な成果を納めているものとの結論に至り、第96号議案、第100号議案から第103号議案まで、第105号議案から第107号議案まで及び第110号議案については全会一致をもって、第99号議案、第104号議案、第108号議案及び第109号議案については賛成多数をもって認定すべきものと決定しました。 また、第97号議案については全会一致をもって、また、第98号については賛成多数をもって可決及び認定すべきものと決定しました。 なお、決算審査の結果、改善あるいは検討を求める事項については、お手元に配付の決算特別委員会審査報告書のとおり取りまとめたところです。その全ての朗読は省略しますが、いくつかの項目について申し述べたいと思います。 まず、財政運営の健全化についてです。 本県では、行財政改革アクションプランに基づき、行財政改革に取り組んだ結果、財政調整用基金残高は目標額を26億円上回る350億円余りとなるなど、財政の健全化に一定の成果を上げています。しかしながら、少子高齢化の進行に伴う社会保障関係経費の増加や、新型コロナウイルス感染症への対策などにより、財政環境が厳しくなってくると考えられることから、大分県長期総合計画「安心・活力・発展プラン2015」の確実な実施に向けては、さらなる効果的、効率的な行財政運営が求められています。 また、災害などの不測の事態に対応できるよう、引き続き歳入の確保、歳出の削減に努め、健全な財政運営に尽力していただきたいと思います。 次に、収入未済の解消についてです。 各機関で取組の強化が図られた結果、県税などの収入未済額が減少し、一般会計及び特別会計の収入未済合計額は、10年続けて前年度を下回っているものの、依然として多額に上ることから、今後も引き続き収入未済額の縮減と新たな未収金の発生防止に努めていただきたいと思います。 次に、個別事項についてですが、次の10項目を挙げています。 ①県庁におけるデジタル化の推進について、②ふるさと大分UIJターン推進事業について、③保健所及び県立病院の体制強化等について、④防災意識向上疑似体験啓発事業について、⑤離島等サテライトオフィス整備推進事業について、⑥女性が働きやすい職場環境への支援について、⑦フラッグショップ活用推進事業について、⑧ベリーツ、うまみだけの生産消費拡大について、⑨河川緊急情報基盤の整備について、⑩特別支援学校就労支援事業についてです。 当委員会でまとめた事項については、今後の事業執行及び来年度の予算編成に反映させるなど、適時適切な対応を講じられるよう要望して、決算特別委員会の報告とします。 ○麻生栄作議長 以上で委員長の報告は終わりました。 これより委員長の報告に対する質疑に入ります。 発言の通告がありますので、これを許します。末宗秀雄君。  〔末宗議員登壇〕 ◆末宗秀雄議員 皆さんおはようございます。 第99号議案について、一問一答で質問したいと思います。 教育委員会では、小中学校の学力向上対策支援事業、毎年5億円ぐらいを投入しています。その方法とは何かというと、偏差値34以下の生徒を減らす対策、6%ぐらいの率で生徒がいるようです。 それでは、その偏差値34がどのような数値かというと、100点満点で換算しますと22.5点という驚くべき低得点です。偏差値の全国平均は一般的には45点ぐらいと言われています。普通レベルの高校の合格ラインが通常偏差値50以上だろうとも言われています。 子どものことを父母が我が子に100点満点で22.5点以上を目指せとはなかなか、まず絶対に言わないと思っています。 このような中で質問の1点目として、学力向上対策として、まずほかにはどのような対策が取られているのかをお伺いします。あとは自席より質問したいと思います。 ○麻生栄作議長 ただいまの末宗秀雄君の質疑に対する答弁を求めます。決算特別委員長土居昌弘君。 ◆土居昌弘決算特別委員長 ただいまの末宗議員の御質問にお答えします。 まず初めに、末宗議員も決算特別委員会の委員です。御指摘の小学校、中学校学力向上対策支援事業の審査については、末宗議員も決算特別委員として委員会に出席していただき、委員会の場で一緒に議論をしたので、その理由、経緯については十分御承知のことと思います。末宗議員も御出席された委員会での審査を経てこれを認定すべきものと決定したところです。 ○麻生栄作議長 末宗秀雄君。 ◆末宗秀雄議員 私が決算特別委員会に入っていたということですが、入っていたけど、こういう審議がなかなかできないまま委員会が終了して、審議未了ということで、この席で質問するわけです。今、ほかにはどのような対策がなされているか質問したわけですが、答弁はありませんでしたので先に進みます。 次に、県の決算報告書の中で、学力向上対策の今後の方向として事業組替をするとなっています。その中身についてどのような形でやるのかなと疑問に思っていますので質問します。その中身をお教えください。 ○麻生栄作議長 決算特別委員長土居昌弘君。 ◆土居昌弘決算特別委員長 ただいまの末宗議員の御質疑にお答えします。 その資料も踏まえ、先ほど申したとおり、委員会において慎重に審査しました。そして、その結果、これを認定すべきものと決定したところです。 ○麻生栄作議長 末宗秀雄君。 ◆末宗秀雄議員 なかなか答弁難しいんですね。そんなに難しいことを聞いているんじゃないんだけど。 次に進みます。学力向上対策として県の教育委員会が成績の下位の生徒を減らす対策として、それを目標として予算を大量に投入している実情ですが、通常、目標となると、目指すべきものはまず、高得点の目標を設定する、それが大体当たり前です。100点満点で22.5点以上の目標というのは、少なくとも一番の目標ではないと私は思っています。 いろんなたくさんの目標があれば、22.5点以上というのは、少なくとも下のほうの目標じゃないかと。まずはやっぱり上を目指して、そして成績を向上させるのが教育のあり方じゃないかと思っています。 委員長がどういう見解をもってこれを了としたのか、お伺いします。今回は明快な答弁でよろしくお願いします。 ○麻生栄作議長 決算特別委員長土居昌弘君。 ◆土居昌弘決算特別委員長 ありがとうございます。末宗議員の御質疑にお答えします。 そういった議論もしっかりと踏まえながら審査しました。その結果、これを認定すべきものと決定しましたので報告します。 ○麻生栄作議長 末宗秀雄君。 ◆末宗秀雄議員 なかなか名答弁、迷うという字だろうな、そういう気がしています。答えられなければしょうがないけど、教育というのが、私、その委員だったけど、こういうことを質問しようと思ったけど、そういう場が審議の過程でなかったので、今この席で聞いています。そういうふうに審議をなかなかしない状態で委員会運営を行っていることに疑問を感じています。これを参考にして、今後委員の皆さんが審議できるよう要望して質問を終わります。
    麻生栄作議長 以上で末宗秀雄君の質疑に対する答弁は終わりました。 これをもって質疑を集結し、これより討論入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。猿渡久子君。  〔猿渡議員登壇〕 ◆猿渡久子議員 日本共産党の猿渡久子です。日本共産党を代表して、歳入歳出決算の認定について討論を行います。 初めに、第99号議案2019年度大分県一般会計歳入歳出決算の認定について、反対の立場から討論を行います。 まず、歳入全体についてです。 今回の一般会計歳入決算は、6,198億3,095万円となっています。2019年度県税収入未済額は前年度に比べ、約3千万円減少したとはいえ、14億6,700万円となっており、そのうち個人県民税が54%を占めます。さらに、県税の不納欠損額は破産や時効などにより9,755万円にも上っており、滞納繰越分も9億8,381万円に上っています。これは長期の景気低迷の中で、消費税増税により大きな打撃を受けた事業者の実態を表しています。 滞納繰越も数多くあり、差押処分など実行されていますが、過度な取立てはやめ、納税者の状況をよく勘案して行うべきです。 消費税は、県にとって地方消費税として歳入増となりますが、県民にとっては負担増です。税収増を図るためには、大企業や富裕層に軽減している税率や特別措置などの優遇税制を改めることこそ必要なことです。 また、県税の滞納については、職権による換価猶予や申請による換価猶予は積極的に行う必要があります。2019年度は申請によるものが2件ですが、もっと積極的に活用するよう徹底すべきです。 以下、歳出決算について反対の理由を具体的に述べます。 まず、大型開発や無駄な事業を見直し、県民の暮らしや福祉応援の予算にすべきという点です。身近な道路改善事業では、2019年度に109か所、累計で1,063か所改善しています。地元からの要望も多く、ここ数年、8億円の予算ですが、要望の実現のためにはさらなる予算の増額が必要だと考えます。 東九州新幹線については様々な意見があるにもかかわらず、早期実現を目指しており、夢の灯を消さないとして、豊予海峡ルート構想も推進しようとしていますが、これも問題です。 コロナ禍で県民の暮らしがますます厳しくなっている中、また、財政の見通しも厳しい中、このような事業に莫大な経費をかけることはやめて、県民の暮らしや福祉、中小業者への継続的な支援策にこそ県民の大切な税金を使うべきだと考えます。 また、過疎化が進み、利用客の減少によって、バスの便数の減少が続いていますが、身近な交通手段の確保こそ優先すべきです。 暮らしの問題では、年金の実質引下げや非正規雇用の拡大、実質賃金の減少等によって県民の暮らしが大変疲弊しています。さらに、コロナ禍で県民は苦労しています。暮らしていける社会保障制度の構築を国に求めることが大分県として取るべき道だと考えます。 国民健康保険については、国保運営方針でおおむね5年以内に赤字解消に努めるとして大分市は2022年度に解消する計画となっています。赤字解消は重要なことですが、強引な差し押さえや病院にかかることができない資格証明書の発行が増えていることは問題です。この対策としても、各種の猶予制度などの活用を現場の窓口で積極的に知らせることが必要です。 しかし、根本的な問題は、国保税が高過ぎるために滞納が生じてしまうことです。ここにメスを入れ、国からの定率負担を増やし、県として値下げのための繰入れを独自に実施し、払えるような国保税に引き下げるべきだと考えます。 また、原発問題では、伊方原発での事故が多く発生しています。昨年9月には3号機の定格熱出力一定運転中のときに屋外で鉄筋が落下する事故が起きています。原子力という危険な施設での事故ということを県として最大限認識し、廃炉に向けた取組をするよう国に求めるべきです。 また、同和対策として、生活改善事業など、3事業に毎年820万8千円支出しています。その根拠として県民意識調査で差別があると39.6%が思っていることや、ネット内の書き込みなどを挙げていますが、この考え方は思想の自由を規定する憲法19条にも抵触するものであり、インターネットの書き込みは知識を得るためのものがほとんどです。それを根拠に、いまだに委託料を支出することなど許せるものではありません。 また、住宅新築資金融資の無秩序な貸付けによって焦げつきが生じています。市町村がこの督促等をするのに対して、国や県が補助金を出すということまでやっています。全ての同和対策事業を終結すべきです。 今、コロナウイルス感染に関する差別や誹謗中傷が問題になっており、感染症関連や障がい者や外国人、高齢者などの人権擁護に基づく事業こそ、しっかり行うべきです。 3年前の別府における違法な大分県警によるビデオカメラでの盗撮事件はまだ記憶に新しいところです。しかし、県警所有のビデオカメラを使った事件数や検挙数については、捜査の状況から明らかにしないという態度です。これでは県民は一体どういう状況で使われているのか、違法な捜査をされているのではないかなど不安を払拭できません。 このような使い道も明らかにしないようなビデオカメラリース契約決算292万円について認めるわけにはいきません。このような捜査手法を取る大分県警で顔認証システムが導入されていることが明らかになりました。冤罪を生まないような体制を構築し、監視と情報公開を原則とすべきです。 二つ目に補助金漬けの企業立地からの撤退と、正規労働が当たり前のルールをつくることについてです。 2019年度は企業立地推進事業として、8億8,473万円余りの決算となっています。補助金を出さなくても企業は立地条件や雇用等で判断し、進出しています。今決算ではこれ以外にも工業団地開発推進事業費企業立地推進等基金積立金に約42億4,764万円支出しています。企業立地補助金や来る当てのない企業のために団地造成をするのではなく、疲弊している県民の暮らしや福祉のためにこそ使うべきです。来年の予算では、ぜひこの立場に立つことを強く求めます。 太陽光や風力発電施設は、再生可能エネルギーとして重要な位置を占めていますが、人体への悪影響や里山など、自然環境を壊してまで進めるものではないと考えます。 中小企業振興費も支出されていますが、中小企業の疲弊を招いてしまう消費税10%への増税が昨年10月から実施されました。これまでの議論でも消費税は社会保障の充実や財政改善のために使われてこなかったと明らかにしてきました。インボイス制度の本格的実施によって、小規模事業者は取引から除外されるか、課税事業者に転嫁するなどの選択を余儀なくされてしまいます。 県内中小企業への負担増と県民の暮らしを直撃する消費税は当面5%への減税を行い、経済を立て直す施策を行うよう国に強く求めるべきです。 三つ目に農林水産業の振興についてです。 大分県農林水産業への壊滅的な打撃を与えるTPP11協定、そして、日米貿易交渉の合意は更なる打撃を受けてしまいます。種苗法の改悪が行われ、在来品種の自家栽培ができなくなることが危惧されています。 国の農林水産施策を市場開放という姿勢ではなく、家族農業をしっかり守り、農林水産業で食べていける産業として振興策を取っていくよう求めるべきです。 また、大分県内の里山と中山間農地を守るという立場から、無秩序なメガソーラー建設については林地開発の4基準の厳守と地元との協定、同意を前提とするよう、事業者に厳しく指導することを求めておきます。 四つ目に教育予算の充実で、学校教育条件の整備充実を図ることについてです。 小1、小2、中1の30人学級の実施によって、低学力層が減り、国語や数学の学力が向上するなど成果が表れています。 コロナ禍で少人数学級の必要性が高まっているにもかかわらず、全学年実施となれば、財源がかなりかかるといって実施しようとせず、1学年ずつの拡大にも踏み出そうとしないで、国の実施を待つという姿勢です。将来の大分県を担う子どもたちにこそ、お金はかけるべきではありませんか。 コロナ禍の今、ひとり親家庭などの貧困が深刻さを増す中で、少人数学級を広げ、一人一人に行き届いた教育を進めることは貧困を引き継がせないための将来への投資だと考えます。 その一方で、同和関係の地域改善対策奨学金貸付事業は、過去無秩序な貸付けによって、焦げつきが1億円以上生じているにもかかわらず、この回収については一切同和団体とも相談していないのが実態です。過去の間違いを反省し、今に生かすことをしなければ、同和事業を半永久的に行うことになります。教育分野での同和問題の取扱いは、地対財特法失効の今、全てやめるべきであると強く求めておきます。 日本共産党として今回の一般会計決算について、県民の暮らしと福祉の充実で県民の所得を向上させ、コロナ禍の不安を解消し、安心して大分県で暮らせる予算への転換、大企業の身勝手な大量解雇に反対し、雇用を守る県政へ、そして大企業に補助金を出すのではなく、疲弊が進む地元中小企業者への支援、農林水産業の振興等を県政の中心に据えることを求めるものであり、それを来年度予算に反映させることを強く求め、反対討論とします。 次に、特別会計決算についてです。 まず、第98号議案2019年度大分県工業用水道事業会計利益の処分及び決算の認定についてです。 電気、工業用水道事業会計における内部留保も各々2019年度65億円、59億円となっています。今後のリニューアル等に経費がかかるにしても、県の一般会計への繰り出しを企業誘致等に限定するのではなく、県民の暮らし、福祉を応援するための繰り出しとすべきです。 次に、第104号議案2019年度大分県流通業務団地造成事業特別会計歳入歳出決算の認定についてです。 負の遺産を少しでも減少させるためには、売却を進めるべきと考えます。しかし、当初計画では、2003年度に完売予定でありましたが、それができなくて、今では2028年度に延長しています。当然、売却が進まなければ、利子の負担ばかりが増えてしまいます。企業が来るであろうと造成した事業が全く計画どおりに進んでいないのが現状であり、売却が進まなければ負の遺産が増えるだけです。 最後に、第108号議案2019年度大分県臨海工業地帯建設事業特別会計歳入歳出決算の認定について及び第109号議案2019年度大分県港湾施設整備事業特別会計歳入歳出決算の認定についてです。 これらは、これまでも反対理由を述べてきたように、いずれも大企業優遇等の決算であり反対します。 以上で各決算の認定に対する討論を終わります。 ○麻生栄作議長 末宗秀雄君。  〔末宗議員登壇〕 ◆末宗秀雄議員 それでは、第99号議案について討論します。 先ほど土居委員長に質問したわけですが、回答なしと言うより、回答ができなかったという感想を持っています。 大分県議会が随分形骸化してきたなというのをつくづく感じる次第で、私もその一員として責任があるのかなという考えを持っています。 教育という点について少し言わせてもらいますが、少年老い易く学成り難し、一寸の光陰軽んずべからず。中国の朱子の偶成の出典の中にあります。 大分県の生徒が夢を目指して大きく羽ばたくために、この夢を、可能性を大きくするのが行政、教育委員会の役割ですが、今のこの教育方針では著しく減少しているのじゃないかと思われます。 学力の向上は、生徒、学生の夢を大きく実現するためには絶対に必要です。この資源のない日本が将来どのように向かっていくのか、この大分県行政及び議会は心の底から生徒、学生のために大分県教育の真理を追求し、教育の基本政策を打ち立てるべきではないでしょうか。 このたびの決算においては、7千億円弱の予算の中で、この学力向上対策事業は5億円ぐらいです。これだけをもってあえて反対しませんが、大いに反省を促したいと思います。 以上をもって討論を終了します。 ○麻生栄作議長 以上で通告による討論は終わりました。 これをもって討論を終結し、これより採決に入ります。 まず、第96号議案、第100号議案から第103号議案まで及び第105号議案から第107号議案まで及び第110号議案について採決します。 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○麻生栄作議長 御異議なしと認めます。 よって、各決算は、委員長の報告のとおり認定することに決定しました。 次に、第97号議案について採決します。 本案は、委員長の報告のとおり可決及び認定することに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○麻生栄作議長 御異議なしと認めます。 よって、各決算は、委員長の報告のとおり可決及び認定することに決定しました。 次に、第98号議案について、起立により採決します。 本案に対する委員長の報告は、可決及び認定であります。 本案は、委員長の報告のとおり可決及び認定することに賛成の職員の起立を求めます。  〔賛成者起立〕 ○麻生栄作議長 起立多数であります。 よって、各決算は委員長の報告のとおり可決及び認定することに決定しました。 次に、第99号議案、第104号議案、第108号議案及び第109号議案について、起立により採決します。 各決算に対する委員長の報告は認定です。 各決算は、委員長の報告のとおり認定することに賛成の職員の起立を求めます。  〔賛成者起立〕 ○麻生栄作議長 起立多数であります。 よって、各決算は、委員長の報告のとおり認定することに決定しました。  ------------------------------- △日程第2 一般質問及び質疑 ○麻生栄作議長 日程第2、第112号議案から第114号議案まで及び第116号議案から第128号議案までを一括議題とし、これより一般質問及び質疑に入ります。 発言の通告がありますので、順次これを許します。高橋肇君。  〔高橋議員登壇〕(拍手) ◆高橋肇議員 おはようございます。25番、県民クラブの高橋肇です。 私がここに立つのは、昨年の7月以来、実に1年と5か月ぶりです。12月に急性白血病と診断されてから、知事をはじめ県執行部の皆さん、県民クラブほか県議会の皆さん、議会事務局、そして支持者の皆さんに御迷惑と御心配をおかけしました。この場を借りて改めてお詫び申し上げます。 今後は、健康に十分留意しながら、また議員活動に頑張ってまいります。よろしくお願いいたします。 それでは、質問に入ります。 まず、本県だけではなく全国的な課題でもありますが、少子化についてお尋ねします。 この問題については、政府でも30年前から取り組み出したものの決定打はなく、歯止めがかからない状態です。今年はさらにコロナ禍が追い打ちをかけ、今年生まれる子どもたちの数は全国で84万人台と、明治32年以降で過去最少となるのではないかと言われています。 本県の令和2年4月から7月の累計妊娠届出数は2,451件で、前年同期間の2,653件と比べ7.6%の減少となっています。 出生数でも平成29年は8,658人で、前年比401人の減、30年は8,200人で458人の減、令和元年は7,624人で、576人の減と過去最少となっています。 県としても、これまで少子化対策として子育て満足度日本一をめざしてと題して、おおいた子ども・子育て応援プランを策定し取り組んでいますが、残念ながら、その効果は十分とは言えません。 特に未婚、晩婚といった子育て前の課題への対策が不十分ではないでしょうか。子育てへの応援、支援はもちろん充実していかなければなりませんが、その前段階の結婚、妊娠、出産をためらう若者が増えています。 本県でも、50歳時点の未婚率は、この35年間で男性は1.9%から21.9%と20ポイントの増、女性は3.8%から14.2%と10.4ポイントの増、平均初婚年齢も平成元年では夫が28.3歳、妻が26.0歳なのに対して、令和元年は夫が30.7歳、妻が29.4歳とどんどん高くなっています。 そこでお尋ねします。子育て支援も重要ですが、その前段階となる結婚や妊娠、出産に関して大胆な支援策が今必要ではないでしょうか。 結婚を考えているカップルが不安なく、安心して結婚、妊娠、出産ができる支援策について、お考えを伺います。 また、出生数を増加させていく観点からは、3人目の子どもを持ちたいという希望をかなえることも重要です。 県が令和元年度に実施した子ども・子育て県民意識調査によれば、県内在住の夫婦の平均理想子ども数は2.88人ですが、実際に持つつもりの子どもの数、いわゆる平均予定子ども数は2.75人となっています。 この数値が異なる理由として最も多かったのが、子育てや教育にお金がかかり過ぎることでした。経済的な問題さえある程度クリアできれば、既に子どもがいる夫婦でも、あと一人子どもが欲しいということです。 このことから、第3子以降を持ちたいという家庭や多子世帯への経済的負担を軽くする施策も少子化対策には必要だと考えますが、見解をお聞かせください。 以下、対面にて質問します。  〔高橋議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○麻生栄作議長 ただいまの高橋肇君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 高橋肇議員から少子化対策について御質問いただきました。 県では、子育て満足度日本一を目指して、子どもを産み、育てやすい環境づくりに全力で取り組んできましたが、未婚化、晩婚化や、若年人口の減少傾向などが続き、残念ながら少子化の流れを変えるまでには至っていません。このため県では、希望する方が、できるだけ希望する時期に結婚や妊娠、出産ができるよう、様々な面から対策を講じているところです。 まずは、出会い、結婚への支援です。 一昨年、出会いサポートセンターを開設して、会員制のお見合いサービスを提供しています。本年8月から会員同士がスマホでお相手の検索ができるようにするなど、利便性の向上も図り、11月末現在の会員数は1,700名を超え、成婚カップルも41組と順調に成果が出ています。企業にも結婚おうえん団として251社に登録をしていただいており、センターの広報やイベントの開催などに御協力いただいています。 次に、妊娠、出産への支援です。 子どもが欲しいけれど、なかなか授からないという御夫婦に対し、不妊治療に要した費用を国の基準よりも大幅に上乗せして助成しています。 本年10月からは治療前の検査費用についても県独自に助成するなど、より手厚くしているところです。 現在、国で議論されている助成制度の拡充についても、その動向を踏まえてしっかり対応していきたいと思っています。 多子世帯への経済的支援も重要です。2人目、3人目を希望する方を後押しするため、県独自に次の三つに取り組んでいるところです。 一つ目は保育料です。昨年10月から第3子以降に加え、第2子についても全額助成する制度に拡充しています。 二つ目は、子育て支援サービスに利用できるほっとクーポンです。昨年度から配付金額を出生順位×1万円として、第4子の場合には4×1ということで4万円をお贈りするということです。 なお、このクーポンの使途について、おむつやミルクの購入にも使えるように拡大したいと考えています。 三つ目は、子育てと仕事の両立支援です。育児短時間勤務のときに、次のお子さんをもうけ、育児休業を取得した場合に、減額となる育児休業給付金を30万円まで補填しています。 こうした取組に加え、県民が理想とする子どもの数の実現に向け、雇用の確保や働き方改革、男性の子育て参画等に官民挙げて重層的に取り組んでいるところです。 また、若い世代が自らの結婚や出産等のライフデザインを早い段階から考える機会を提供するため、啓発にも力を入れているところです。 このように結婚から出産、子育てまで、切れ目ない支援をしっかりやっていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 高橋肇君。 ◆高橋肇議員 ありがとうございます。県としても、これまで様々な取組を進めてこられたと思いますが、残念ながら、その効果がなかなか現われない、そこがこの問題の難しいところだと思います。 結婚できる環境づくりということで、それはただ単に出会いをどうこうする問題だけではなく、今知事がおっしゃったように経済的な面の支援と、あとはやはり働く場、労働の環境等の改善も含めて総合的に見ていかないと、若い世代が安心して結婚して、妊娠して出産しようという状況にはなかなかできないのかなと思います。 今後とも思い切った、大胆な支援策をお願いします。特に今年、コロナ禍で、若い世代にかなり無理が生じている部分があると思います。妊娠を手控えるような報道もあったので、そういう面でまた今後の県の取組をよろしくお願いします。 ちょっと1点、話がそれますが、今政府が不妊治療にあたって保険適用ができるように法律改正を進めています。これは必要なことだと思いますが、この不妊治療については、働く職場をはじめとした周りの人たちの理解と支援が絶対不可欠だと思います。 安心して治療に専念できるよう、県としても十二分な支援をお願いしたいと思いますが、その点についてはいかがでしょうか。 ○麻生栄作議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 安心して不妊治療に専念できるような職場などの環境づくりということです。 先般、国が行った調査によると、不妊治療経験者16%が仕事と不妊治療の両立ができずに辞職しています。 企業が有能な人材を確保するという点でも、職場とか周囲の理解、また支援は重要だと考えています。 このため県では今年度、厚生労働省が作成した不妊治療への理解促進や仕事との両立を支援するための企業向けマニュアルとかハンドブックを市町村や保健所、関係機関などに配布して相談対応等に活用しています。 また、労働局からも県内企業に配布など行いって、啓発や意識の醸成に努めているところです。 また、先ほどお話にあった国では不妊治療に伴う休暇制度のあり方について、今議論されていると聞いています。 私どももその動向を注視していきたいと考えているところです。 ○麻生栄作議長 高橋肇君。 ◆高橋肇議員 ありがとうございます。ひとつよろしくお願いします。 さきほど子どもが既にいる世帯、多子世帯についてもサポートにこれからしっかり取り組むということです。 第3子以降について、特に子どもの多い世帯ではお金が必要になってくるので、将来の先行投資として、これから十分な、県としての様々な支援策を期待しています。 では、次に移ります。日出生台実弾射撃訓練についてお尋ねします。 沖縄の負担軽減の名目で平成9年度から始まった在沖縄米海兵隊日出生台実弾射撃訓練は、これまで14回行われています。 令和元年度の訓練では、九州防衛局と締結している協定及び確認書に反して、午後8時以降の射撃が5日間にわたり繰り返され、公表された訓練日数の8日間を過ぎた翌日にも小火器訓練が実施されました。このため知事は防衛大臣に対して、厳重に抗議をされました。 また、訓練日数も国内の年間上限の35日間を超えるなど、自粛を求める地元の要請にも応じませんでした。 今年度の訓練については、防衛省が11月20日に発表した計画により、日出生台演習場で行われないことが分かりましたが、一方で宮崎県においては、日米共同統合演習において、米軍が宿泊場所を突然基地内から市内のホテルに切り替えるという新たな問題も発生しています。 そこでお伺いします。今年第1回定例会で知事は、県民の安全・安心を確保する観点から、日米合同委員会で実効性のある話し合いが行われるようしっかりフォローしていくと答弁されましたが、その後の日米合同委員会での話合いの状況等について、米軍あるいは防衛省から県へどのような話があったでしょうか。 また、今後の訓練に対し、県としてどのように対応していくお考えなのか、あわせて改めてお伺いします。 ○麻生栄作議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 日出生台の実弾射撃訓練についての御質問でした。 経緯は今、議員から御指摘があったとおりで、ああいうことがあったので、県として再三再四、九州防衛局に強く抗議し、さらに3月2日には私自身防衛省に参り、防衛大臣に対して、一つは、20時以降の射撃訓練自粛の実効性を確保すること。それから、二つは、実弾射撃訓練の日数を遵守すること、この2点を日米合同委員会の合意事項とするよう直接要請したところです。 防衛大臣からは、県の要請に理解を示された上で、しっかり議論するとの回答をいただきました。 要請後は、九州防衛局を通じて、要請した事項が日米合同委員会の議題に上がって、協議を重ねていることは確認していますが、その協議の成果について説明はいただいておりません。このため11月27日、九州防衛局長に対し、改めて要請事項に関する早期の説明を強く求めたところです。 九州防衛局長からは、委員会での協議は継続中であり、整い次第、速やかに説明するとの回答があり、県としては県民の不安解消と安全確保の観点から日米合同委員会の成果について、引き続き説明を求めていきます。 次に、この訓練に対する今後の対応についてですが、もとよりこの訓練は沖縄の基地負担軽減のための苦渋の決断をして受け入れたものです。将来にわたる縮小廃止が大分県の基本的なスタンスです。 その上で、訓練を受け入れるにあたっては、県民の不安解消と安全確保が図られることが最も重要だと考えています。 今年度は、実弾射撃訓練が日出生台演習場では実施されないことになっていますが、県としては引き続き米軍使用協定や、その確認書の遵守を強く求めていきたいと思っています。 ○麻生栄作議長 高橋肇君。 ◆高橋肇議員 ありがとうございます。日出生台の豊かな自然環境、景観を守るためにも県としてやっぱり毅然たる態度で臨んでいただきたいなと思います。今後とも縮小廃止の基本を忘れずに対応をお願いします。これは地元の方々の切なる、そして強い要望でもあります。よろしくお願いします。 あと、一つ要望だけお願いします。 今年10月に核兵器の禁止条約が発効に必要な50か国の批准に達して、来年1月に発効予定となりました。しかし、アメリカの核の傘の下にいるので、日本はまだ批准も署名もしていません。 広島市、長崎市の両市長は即時批准を求めていますが、日本政府はなかなか重い腰を上げようとしません。 世界で唯一の被爆国である日本が核兵器の禁止に向け、今こそ世界をリードすべき時と確信しています。 広瀬知事におかれては、ぜひ九州知事会や全国知事会の中で日本の早期の批准を訴え、政府に向けて強力に働きかけていただきたいと思います。要望です。よろしくお願いします。 では、続いて医療現場の課題についてお尋ねします。 現在、新型コロナウイルス感染症が世界中で大きな問題となり、いまだ終息の兆しさえ見えていません。本県においても寒さがやってくる冬を迎え、今、感染者数が増加しつつあり、第3波と言える状況に至っています。感染された方々の一日も早い御回復を祈ります。 例年だとインフルエンザが流行する時期を迎え、保健行政や医療現場では同時流行に備えた対応に追われていると思います。しかし、私たちを襲う病魔は、もちろん新型コロナウイルスだけではありません。悪性新生物、いわゆるがんは日本人の死因に占める割合はいまだ第1位です。がんと言っても様々な種類と症状がありますが、今回、私が発症した血液のがん、いわゆる白血病に絞って質問します。 かつては不治の病のように言われていた白血病ですが、現在では正常な骨髄細胞をドナーから採取し、患者の静脈内に注入する骨髄移植や、末梢血幹細胞移植という方法で治すことが可能になりました。 しかし、移植を希望し、実際に移植を受けることができる患者は約6割にとどまっています。白血病患者を救うためのものが骨髄バンクであり、正常な骨髄細胞を提供していただけるドナーが必要です。 しかし、白血球の型が適合するドナーが見つかる確率は最も近い兄弟、姉妹でも4分の1、ましてや他人となると数百から数万分の1と聞いています。それだけに、多くの方に白血病の現状と骨髄バンクの必要性を理解していただき、ドナー登録してもらうことが必要です。 県では、平成30年3月に大分県がん対策推進計画(第3期)を策定し、がん対策を総合的に推進してきました。しかし、悪性リンパ腫や白血病患者の罹患率が全国平均よりも高いにもかかわらず、ドナー登録がなかなか思うように進んでいません。本県における白血病患者の現状と骨髄ドナー登録に関する課題をどう捉えているのか伺います。 続いて、医師や看護師といった医療従事者の働き方について御質問します。 今年は新型コロナウイルスの感染が拡大したこともあり、医療に携わる方々の御苦労は並大抵ではなかったと思います。私が入院していた大分県立病院でも、面会の制限、面会者の消毒、マスクの着用等が徹底されて、ただでさえ白血病の場合は免疫力が格段に下がるため、面会に制限がありましたが、コロナ禍により、家族でさえ面会できない状況になりました。 こうした中、医療従事者は感染リスクを避けるために、特に3月以降は休日でもほとんど外出をせず、また、県外に御実家がある方も全く行き来することができなかったそうです。 その精神的緊張感や苦労は、私たちが想像する以上に苦しいものだったと思います。 さらには、医療機関で感染者が発生すると、そこで働く医療従事者のみならず、その家族も含め、関係者が不当な差別や偏見、誹謗中傷にさらされる事象が全国的に発生したことは大変悲しむべきことです。 医療従事者は日常的にも長時間労働や夜勤を含む交替制勤務など、厳しい労働環境の中で働いております。このままでは、将来的な人材の確保と医療の質の維持向上に大きな課題を残すことになりかねません。 医師、看護師をはじめとした医療従事者の確保と安心で健康的な働き方が可能となる労働環境の整備について、県の考えをお尋ねします。 ○麻生栄作議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 2点について御質問いただきました。 まず1点目の白血病患者の現状と骨髄ドナーの登録についてお答えします。 最新の調査である平成29年全国がん登録によると、本県のがん罹患者数は9,601人で、うち白血病患者は186人となっています。 10月末現在、県内の移植希望者は15名で、約4,200人の方にドナーとして登録いただいていますが、本県を含め、全国的な課題として、20代以下の登録が少なく、いかに若年層を取り込むかが課題となっています。 このため、県では、高校の卒業式や成人式での啓発用リーフレットの配布やSNSなどを活用した協力の呼びかけを行っています。 また、登録者数全体の底上げのためには、企業の協力も欠かせないことから、市町村と連携し、ドナー本人やドナーが勤務する事業所を対象とした支援制度を平成29年度に創設して、九州で唯一、全市町村で取り組んでいるところです。昨年度までに30名のドナーと10事業所に助成を行ってきました。 加えて、ドナー登録の一層の拡大を図るため、県と赤十字血液センター、日本骨髄バンクによる連絡協議会を昨年度新たに設置して、関係者の連携強化を図っているところです。 今後とも、骨髄移植を待ち望む方々に移植の可能性が広がるよう取り組みます。 2点目の医療従事者の確保と労働環境の整備についてお答えします。 コロナ禍の中、日夜献身的に診療に当たっていただいている医療従事者の皆様方に感謝申し上げます。 その労に報いるために、県では全国に先駆けて慰労金の支給を7月に開始し、申請があった方への支払いは既に完了したところです。 医療従事者が健康で安心して働くことができる環境の整備は大変重要と認識しています。 そのため県では、入院患者の呼吸や心拍数等をベッドから電子カルテに自動で記録できるシステムなど、ICTを活用した業務の効率化の支援や、特定医療行為を行えるナース・プラクティショナーの養成を推進しています。 また、県が設置した医療勤務環境改善支援センターにおいて、勤怠管理システム、これは出退勤とか、そういったシステムです--や、AI問診システムの導入等の先進事例の紹介などに取り組んでいます。 新型コロナに関して差別や中傷を受けた医療従事者には、こころとからだの相談支援センターと大分県公認心理師協会が連携してチームを派遣し、ストレスチェックや個別面接などを実施しています。 今後も安心で健康的な働き方が可能となるよう、医療機関の労働環境の整備、改善を促進し、医療従事者の確保に努めていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 高橋肇君。 ◆高橋肇議員 ありがとうございます。 今回、私も入院してみて、本当に初めて知ったわけですが、血液の病気で苦しんでおられる患者はとても多かったです。 白血病の発症は数万人に1人と言われていますが、県病の無菌室や病床はいつも満杯という状況がありました。 また、一人一人の症状等、治療法も本当に異なっています。この病気の完全な根絶のためには、移植治療が現段階で最も有効だと言われていますが、ただ移植に関しては、ドナーにもやっぱりリスクがあります。そういうところも啓発しながら、一人でも多くドナー登録をしていかないと、本当に皆さん順番待ちで、うまく提供できなければ、救える命も手遅れになると思います。強力な取組をお願いします。 一方で、さきほどの働き方の問題ですが、今回新型コロナウイルスの治療によって、医療スタッフの大変な重労働が浮き彫りになったと思いますが、そうでなくても、命を預かる仕事に携わるスタッフの皆さんの大変さに私たちはもっと早く気づかなければならなかったと思います。患者の命を救うために医師や看護師の皆さんが命を削ることがあってはならないと思います。 働いている医師や看護師の皆さんが頑張ろうというモチベーションを維持できるように、また、将来の医療スタッフを目指す若者が増えるように働き方の改革も含めた強力な取組をお願いします。 大分県も今、残念ながら、感染者数が増えてきている状況なので、医療崩壊へと向かわないよう、私たち県民一人一人も感染防止への対策を怠らないよう自覚を持って今後に当たっていきたいと思います。 では、時間がないので、先へ進みます。 4番目、生活道路における歩行者の交通事故防止についてお尋ねします。 10月の新聞に「進まぬ歩行者優先」という見出しで、信号機のない横断歩道を歩行者が渡ろうとしている際に、一時停止をしている車の割合について、8月に日本自動車連盟JAFが実施した調査結果が掲載されていました。 それによると、本県では停止する車両が15.7%しかなく、8割を超えるドライバーが、歩行者が横断歩道を渡ろうとしている状況下において、一時停止をするという法を守っていないという結果でした。 前年の調査では、15.0%だったので、やや改善したものの、九州、沖縄で最も低かったと書かれていました。 実際に私も目の前で横断歩道を渡ろうとしている歩行者がいるにもかかわらず、その前を当然のように走り去る自家用車を何度も目撃しています。 コロナ禍で交通量が減ったものの、都市部などでは死亡事故が増えているという報告もあります。県内でも3月に由布市の県道で信号機のない横断歩道を渡っていた6歳の男子が車にはねられて死亡しています。5月には別府市で男性が、そして7月には竹田市の県道で女性が車にはねられ亡くなっています。 全国的に見れば、今回の調査で一時停止率が7割を超えている県もあります。高齢化が進めば、横断歩道を渡るのに時間を要するお年寄りも多くなります。取締りの強化ももちろん必要ですが、あわせて横断歩道は交通弱者である歩行者が優先というルールを徹底してドライバーの意識の中に育てていく取組が急務だと考えますが、見解を伺います。 ○麻生栄作議長 竹迫警察本部長。 ◎竹迫宜哉警察本部長 横断歩道での運転マナー向上について御質問いただきました。 御指摘の調査結果によると、3年間で大分県の割合については6.7%から15.7%、これは結構改善していますが、残念ながら全国平均は下回っていることから、御指摘いただいたように運転者に横断歩道における歩行者優先を徹底する必要があると考えています。 一方、交通死亡事故が発生している交通事故の抑止の観点から言うと、県内における歩行者の交通死亡事故の約8割は道路横断中であり、運転者だけでなく、こうした歩行者の約7割にも車両の直前横断だとか、斜め横断などの違反があるのが残念ながら現状です。 こういったことを踏まえて、県警察では、運転者対策とあわせて、歩行者に交通法令遵守と交通マナーの実践を習慣づけることもまた重要な課題であろうと考えています。 そこで、これまで以上に街頭における横断歩行者妨害等の交通指導取締りとあわせて、歩行者への正しい横断方法の指導を強化していくほか、横断歩道でのマナーアップの広報啓発、参加体験型の交通安全教育、さらには横断歩道の高輝度化や人感ライトの整備などに努めていきたいと考えています。 また、本年3月に立ち上げた思いやりの運転県おおいた推進会議等と連携し、横断歩道での運転マナー向上に努めていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 高橋肇君。 ◆高橋肇議員 免許更新時の啓発活動をはじめ、日頃からテレビとかSNSとか、そういう呼びかけ、それから、信号機のない横断歩道の脇で歩行者を見かけたら、一時停止という立て看板を設置するとか、常に何かドライバーに意識をさせる取組をお願いします。 また、歩行者も横断歩道を今から渡りますよという明確な意思表示をすることが大事だと思うし、三重県、それから、これは県内の豊後大野市の小学校で見ましたが、横断歩道を渡り終えた小学生がくるっと車のドライバーのほうを向いて一礼をすると。ほんのささいなことですが、歩行者とドライバーの無言の温かいコミュニケーションが取れていた。そういうのを初めて見て、そのときはびっくりして感動しました。 そういうふうにドライバーと歩行者、お互いがお互いを尊重し合う、これは交通安全教育の一環ともなると思いますが、こういう事例を紹介していただきながら、改善に向けた方法の一つだと思いますが、そういう面についてはいかがでしょうか。 ○麻生栄作議長 竹迫警察本部長。 ◎竹迫宜哉警察本部長 御指摘いただいたとおり、先ほどのJAFの統計の上位県にどういった施策を取っているかについて、いろいろ問い合わせたところ、今御指摘のあったように、きちんと渡る歩行者も法律上は当然の権利ではありますが、きちんと運転者側に敬意を払うことが、お互いのマナーの向上に非常に役立っていると聞いているので、そういったことも踏まえて、教育長とも連携しながら、交通安全教育を実施していきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 高橋肇君。 ◆高橋肇議員 よろしくお願いします。 では、次に学校現場の課題に関する質問に移ります。 まず、現場と災害時の対応についてお尋ねします。 ここ数年、様々な災害が各地で起こっています。我が会派は10月に7月豪雨で被災された由布市、玖珠、九重両町、日田市を調査してきました。 今回は日田市、九重町でそれぞれ学校1校が被災したということでしたが、ここ数年の自然災害は、想定を超えて大規模になり、しかも広範囲に及んでいます。 また、土砂災害によって主要な幹線道路が被災するなど、交通網が寸断し、地域が孤立する事態も発生しました。当然子どもたちが在校中にそのような事態に絶対ならないとは誰も保障できません。災害発生時、子どもたちや学校の教職員の安全確保のために、学校にとどまらなくてはならない場合を想定し、その後の子どもたちや教職員のメンタル面への支援も含めて、事前に準備を行っておくことが必要と考えますが、現状はどうなっているのかお聞かせください。 二つ目にコロナ禍における今後の修学旅行についてお尋ねします。 今回、日田市中津江の鯛生金山にも伺いました。新型コロナウイルスに加え、7月豪雨災害のため客足は大きく減少していました。被災した道路も徐々に復旧し、客足も回復してきたとおっしゃっていましたが、コロナ禍のため、以前のような状況までには回復できていないようでした。 そこで、鯛生金山では、中学校の修学旅行コースに当地を入れてもらう活動に取り組んでおられました。各市町村教育委員会に誘致をお願いしているとのことでした。 近くには宿泊できるスポーツセンターもあります。近代産業を学習するにも良い教材ですし、県内にある、これまで修学旅行先として注目の少なかったこのような施設を見直す絶好のチャンスだと思います。 修学旅行というと県外が主でしたが、コロナ禍により見直しを余儀なくされています。当面このような状況が続く可能性が高いと思いますので、ぜひ県内の観光産業を支えるという観点からも、各市町村教育委員会にこのような施設を紹介するなど、県内観光施設への修学旅行の誘致を支援することが必要と考えますが、考えをお聞かせください。 三つ目に、先ほどの少子化問題と絡めて、教職員の広域人事について質問します。 先ほどの質問でも申したとおり、少子化対策で今後力を入れていかなければならないのは、未婚、晩婚の若者に対する支援だと思います。根本的には結婚する人たちが増えなければ、妊娠、出産が大きく増えることはありません。 就労をはじめ、経済的な支援も必要ですが、結婚しようと思える環境づくりが大切なことは申しました。しかし、本県においては、若い世代の教職員がおおむね10年で3地域を異動しなければならないという人事ルールがあるため、なかなか結婚に踏み切れないという声をあちこちで聞いています。3地域目でも希望する地元に戻れない例も出ており、希望どおりになる人とならない人がいることで、不公平さを感じている教職員も多いようです。 また、子育て中の教職員は広域異動により、子どもの世話に支障を来し、退職さえ考えざるを得ない人もいます。 子育て満足度日本一を掲げながら、足元の教職員が子育ても結婚も十分にできない状況をどうお考えになりますか。 このルールも10年目を迎えようとしています。教育委員会は、そのメリットを強調されますが、対象者である教職員からはデメリットしか聞こえてきません。 また、新規採用者の中には、そのような人事ルールが存在することを知らない人もいるようです。採用前に知らせておくことも必要ではないかと思いますし、3地域目は必ず地元へ返す、希望を最重要視する、異動は近隣の市町村を原則とするなど、大幅な見直しをするべき時期ではないかと考えます。御見解を伺います。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 2点についてお答えします。 まず、災害により孤立した学校での対応についてです。 熊本地震や九州北部豪雨などの相次ぐ自然災害を踏まえ、平成29年度に有識者の協力を得て防災・避難対策マニュアルを作成し、ホームページに掲載するとともに、広く配布しています。 児童生徒や教職員が帰宅困難な場合の待機に必要な物品や、その後の保護者への引き渡し方法、心のケアに関する対応なども網羅しています。 さらに、災害時の学校の行動計画であるタイムラインを広く普及させるため、教職員研修や防災の専門家による出前講座などを実施し、学校の対応力の向上を図っています。 公立学校の備蓄状況を平成30年度調査で見ると、飲料水が45%、食料が42%で、各々前回27年度調査の約1.7倍となっているものの、さらなる備蓄を引き続き働きかけます。その他の備蓄では、毛布が37%ですが、県立学校では全校で簡易トイレとあわせ、アルミ毛布を備蓄しています。 また、災害発生後の児童生徒や教職員の心のケアに対応するため、スクールカウンセラーを速やかに学校に派遣することとしており、7月豪雨の際も日田市、由布市の学校5校に13名のスクールカウンセラーを派遣したところです。 次に、教職員の広域人事についてお答えします。 広域人事は、教員の意識改革、全県的な教育水準の維持向上、若手教員の人材育成の三つの観点から取り組んでおり、複数勤務地を経験させることはキャリア形成においても大事な取組であると考えています。 小中学校の教職員の人事異動は、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づき、市町村教委の内申に基づいて、任命権者である県教委として適材適所の観点から行っており、必ずしも希望どおりの異動になるものではありません。しかし、結婚や育児などの個人的な事情については、職員調書等で把握し、可能な限り配慮するとともに、年度当初に代替措置を行うなど、産育休を取得しやすい環境整備を進めており、教職員の結婚や子育てにも配慮しています。 また、教員の採用に当たっては、受験資格として県内のどこにでも赴任をできる者としており、採用後も毎年度人事異動方針及び人事異動実施要綱などにより、人事ルールについて周知をしているところです。 今後とも教職員の個別事情にも十分配慮しながら、広域人事を進めていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 秋月観光局長。 ◎秋月久美観光局長 コロナ禍における今後の修学旅行についてお答えします。 本県は豊かな天然自然や歴史的文化遺産など、学びの場として優れた観光素材が多くあります。コロナ禍の中、県内で実施する修学旅行は安心な旅の実現とともに、ふるさとを見つめ直す貴重な機会になると考えています。 県では7月末に感染状況を踏まえ、可能な限り中止ではなく、県内実施なども検討していただくように県立学校や市町村教育委員会、私立学校の設置法人に依頼したところです。さらに、ツーリズムおおいたが学校や旅行会社に体験素材の情報提供を行うとともに、個別相談にも応じているところです。 こうした取組により、11月末までに小学校では220校、中学校では39校が県内で実施し、例えば、日田市では27校、約1,800人、国東市では22校、約550人の宿泊を受け入れました。九重町の小学校では、宇佐市の戦争遺構や国東市の黒津崎海岸などをめぐり、身近な景色とは違う雄大な自然に驚いた、温かいおもてなしに感動したと好評を得たと聞いています。 コロナの収束が見込まれない中、県では引き続き各市町村教育委員会などに鯛生金山などの体験学習施設の情報を積極的に提供して、修学旅行の県内実施を働きかけていきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 高橋肇君。 ◆高橋肇議員 ありがとうございます。 まず、災害時の孤立したときの学校の対応ですが、マニュアルを作成したり、研修をしたりということです。実際、本県ではまだそういう事態にはなったことはないと思いますが、2019年10月25日、千葉県を襲った豪雨災害では、多くの学校が周辺が冠水して、子どもたちが自宅に帰れずに学校で一夜を過ごした。これは正確には学校待機ということになりますが、このときも朝は普通に通学できる雨だった。お昼前後に豪雨に見舞われて大変なことになったということです。 実際に私も学校現場にいたときに、いろんな災害の避難訓練はしました。地震、津波、火事、不審者。しかし、そういう思いがけない短時間の中で状況が変わってしまった。そのときに対応する避難訓練というものは、実際には各学校の中ではできていないと思います。朝は何でもなかったが、午後から状況が変わった、そういう場合の対応について、研修等をしているとのことですが、教職員、それから、周辺の保護者を含む地域の方への周知はどうなっているでしょうか。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 登校したときには気象災害等がなくて、帰るという段になって、そういう異常事態が発生している場合の対応の仕方ということです。いろんなケースでの災害があり得るということで、それぞれが、まず自分がどういう行動を取ればいいかについて、マイタイムライン、どういう行動をすべきかというところについての認識を深め、また、しっかりその研修もする必要があり、その対応を広く普及させようと考えています。 いろんな訓練等の場合も、絶えずこれまでにない想定外という状況があり得るんだという前提での訓練をするようにと。普通は地震と海岸部の避難訓練等が行われていますが、このマイタイムラインも含めた対応の仕方を主題に学校に普及していっている状況です。 ○麻生栄作議長 高橋肇君。 ◆高橋肇議員 今、いろんな困り、問題を抱えている子どもたちもたくさんいます。多様性を持っている子どもたちも含めて、学校現場でそういう緊急の災害対応の仕方について、教育委員会としても御配慮をお願いします。 それから、修学旅行ですが、子どもたちにとっては修学旅行といえば、どこか遠くへ行きたい気持ちは分かりますが、今現在、感染の不安、それから、費用の削減、地元産業の後押しという面からも県内施設の修学旅行は十分に検討に値すると思いますので、今後とも新しい取組の一環として前向きに検討をお願いします。 最後に、教職員の広域人事ですが、実はこれは私たちが思っている以上に若い世代にはあまりいい影響は及ぼしていないと思います。結婚できない、家庭が持てない、それから、遠距離通勤、単身赴任による経済的負担の大きさ、異動が大きいがために生活の拠点が決められない。子どもや親の育児、介護をどうしていくか等々。 でも、どうにもならなくなってしまったときに、もう辞めるしかないという道を選ぼうとしています。そういうふうな実態を教育委員会はどの程度把握されているのかなと思います。 もういい加減にしてくれという悲鳴を現場からも地域からも聞かされているし、対象者がそういうふうな本音をきちっと話せるようなコミュニケーションを本当に取れているのかなと思います。可能な限り、いろんな面で対応しているということですが、残念ながら対象者が、その配慮を実感できていない。可能な限りの希望を考えていると言いながら、第3希望まで書いているが、第3までいかない。そのうちの何にも書いていないところの学校に行かされるとか、そういう実感が伴っていない部分があります。 少子化の問題と絡めて再度伺いますが、そういう若い教職員が今の人事ルールでは、結婚、出産、子育ても満足にできないという声に対して、県の教育委員会としては、どう考えておられるでしょうか。 ○麻生栄作議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 まず、現場からのいろんな要望、意見等は、これは交渉事項ではありませんが、要望を聞く時間を設けて、いろいろお話も伺っております。 そして、結婚を妨げる要因の一つにこれがなっているのではないかというお話ですが、当然、結婚、出産というのは、まず個人の自由でありますから何が原因かをはっきり見極めるのは難しいとは思います。市町村立学校の40歳未満の教職員の未婚率の状況を見ると、女性は僅か上回っていますが、男性は逆に下回っている状況もあります。 なかなかこれがどういう原因でというのを見極めるのは難しいのではないかなと思っています。 それから、広域の人事異動でこういうことが全て妨げられているのではないかというお話ですが、逆に何度も申しますが、広域人事異動をしなければ、先生がもう明らかに偏在してしまう。希望を見ると、やはり都市部で勤務したいという方が多い。人情としては分かりますが、それだけを認めると、地方のほうにはほとんど若い先生がいない状況になってしまう。ここはやはり調整して、公平な教育のサービスを提供するという任務を公務員としては担っているわけですから、その点も考えながら人事異動しなければいけない。 そしてまた、この原則だけを貫いているわけではなくて、個人の事情はしっかりお聞きしながら対応もしているということで御了解いただきたいと思います。 ○麻生栄作議長 高橋肇君。 ◆高橋肇議員 ありがとうございます。 どうでしょうか、もうここらで一つの区切りとして広域人事ルールの総括をされて、見直すべき点は見直して、改めるべき点は改めるべきではないかなと思います。 子育て満足度日本一実現のためにも、そして少子化に少しでも歯止めをかけるためにも、そうしないとどんどん優秀な若い教職員が県外へと流れていってしまうんじゃないかと思います。 日本教育新聞に、教員採用をめぐって県外へ活動を広げる動きが進んでいるという記事がありました。試験のハードルを下げて、他県の教育委員会が他県の受験者を確保しようというわけですね。そうやって、ほかの県に行ってしまった学生は、もうなかなか戻ってこないと思います。 人材確保だけではなくて、少子化へも大きく影響してきます。ルールは人が決めたものですから、人が変えることはできると思います。お金も予算もかからないと思いますので、どうか教育委員会と知事部局で真摯に議論をしていただけることを期待して私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○麻生栄作議長 以上で高橋肇君の質問及び答弁は終わりました。鴛海豊君。  〔鴛海議員登壇〕(拍手) ◆鴛海豊議員 12番、自由民主党の鴛海豊です。本日、質問の機会を与えていただいた先輩議員、また同僚議員に感謝します。 そしてまた、本日は、コロナ禍の中において、遠路、豊後高田市より20人弱の皆さんに議場に見えていただきました。ありがとうございます。よろしくお願いします。 本日は、4点7項目について質問しますので、知事はじめ執行部の皆さん、答弁をよろしくお願いします。 まず1点目が、健康寿命日本一への挑戦について、生涯現役社会の構築に向けた取組についてです。 令和2年を振り返ると、新型コロナウイルス感染症が大きな社会変革を起こした年であったと思います。新しい生活様式の普及により、人が集まる場での距離の確保やマスクの着用など様々なところで変化のあった一年でした。一方で、こうした取組のおかげで健康を意識する機会の多い一年でもあったと思います。 広瀬知事は、安心・活力・発展プラン2015において健康寿命日本一への挑戦を掲げ、改訂版の長期総合計画においてもこの大きくかつ重要な目標を継続し、達成に向け様々な政策を展開しています。これまでも健康寿命日本一おおいた創造会議を中心に、おうえん企業等の関係団体と連携した県民参加型の健康づくり運動の推進やうま塩メニューなど健康でおいしい食事の普及を図るおおいた食の環境整備事業の実施、健康アプリおおいた歩得(あるとっく)を活用したウォーキングへの意欲向上など日常生活の様々な場面を通じて健康への意識喚起を促していると思います。 一方で、令和元年度の全国の20歳から79歳までの男女約5,600人に対するインターネット調査によると、健康増進のために日常的に運動、スポーツを実施していないと答えた人の割合は全体で66.8%となっており、男女とも60代以上で実施していないと答えた人の割合が少なく、年代が若くなるほど多くなる傾向にあります。また、同じアンケートで健康的な食生活を意識していると答えた人の割合は全体で74.4%、これも年代が若くなるほど意識していないと答える人の割合が高くなっています。 健康についての意識は年代によっても異なり、一元的に普及促進するのは大変難しく、年代ごとに課題を抽出し対策を講じる必要があると考えます。また、年代別の対策が奏功することにより生涯現役社会に向けた社会構造の体質強化が可能となり、長期総合計画が掲げる健康寿命日本一の目標達成にもつながるのではないでしょうか。今後の生涯現役社会の構築に向けて知事の考えをお聞かせください。あとは対面席からお願いします。  〔鴛海議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○麻生栄作議長 ただいまの鴛海豊君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 鴛海豊議員から、生涯現役社会の構築に向けた取組について御質問をいただきました。 県では、令和6年までに県民の健康寿命を2歳以上延伸する目標を掲げて、各界トップが結集した健康寿命日本一おおいた創造会議をプラットフォームとして、官民挙げて県民運動を展開しています。 健康寿命は、各世代の健康に対する意識を調査し算定します。日本一を達成するには、若い人の健康に対する意識を変えるなど、世代ごとに対策を講じ、全体の底上げを図っていく必要があります。 まずは、働き盛り世代の対策です。 この世代では、塩分の取り過ぎや野菜の摂取不足、運動不足などが課題です。このため、働く場として多くの時間を過ごす企業と協働して、健康経営事業所の登録、認定に取り組むなど、働く世代が無理なく健康的な生活習慣を実践できる社会環境づくりを官民一体で進めているところです。 また、平成28年の健康寿命に関する全国調査によると、県内の働く世代は、睡眠による休養が十分に取れておらず、ストレス解消もできていない人が多いことも分かっています。 そこで今年度から新たに、公認心理師や理学療法士等の専門職の中から、県で独自に養成した職場環境づくりのアドバイザーを健康経営事業所等に派遣して、事業所自らが実践する健康対策を後押しする取組を進めています。 事業所では、アドバイザーが作成した健康づくり処方箋を基に、従業員の姿勢や動作をはじめ、温度、照度、騒音など、個々の職場環境に応じた具体的な改善に取り組みます。また、ストレスや疲労の軽減に効果的なストレッチ運動を通じて職場ぐるみで健康づくりの機運を高めるなど、こころとからだの両面から健康対策を進めています。 次に、高齢者に向けた取組も重要です。 県では、住民同士が体操などの介護予防に主体的に取り組む通いの場の普及に積極的に取り組んできました。平成30年度には2,700か所の通いの場ができており、高齢者の参加率は16.4%と全国一の数字です。本県は全国でも早く高齢化が進んでいますが、こうした活動により要介護認定率は全国平均よりも低く推移しています。 先月には、本県の通いの場の活動が盛んなことが評価されて、天皇皇后両陛下に、豊後大野市の通いの場「はつらつ清川」をオンラインで御視察いただきました。 なお、新型コロナの影響により、一時期は多くの通いの場が活動自粛を余儀なくされていましたが、安全・安心に活動いただくためのポイントを動画等で周知し、活用いただくことで、現在では約8割が活動を再開しています。 今後とも、多様な主体と協働して、生涯にわたる健康づくりに取り組んでいきます。 ○麻生栄作議長 鴛海豊君。 ◆鴛海豊議員 どうもありがとうございました。生涯現役社会の構築に向けた、本当に知事の思いの伝わる御答弁だったと思います。専門職のアドバイザーであるとか、高齢者に対する対策とか、いろんな形で対策を講じていただいていることに対してお礼を申し上げます。 部長に質問しますが、私の地元豊後高田市では、市民一人1年当たりの食塩摂取量が男女ともに全国平均を上回っていることから、今年度の取組として、別府大学と共同開発した減塩レシピなどを使った事業を行うなど、市民の食生活改善に取り組んでいます。 県においても、減塩マイナス3グラム、それから、野菜摂取量の1日350グラム、そして、まず野菜、もっと野菜ということで、プラス70グラムの野菜摂取量を増やす取組を進めていると聞いていますが、これまでの成果についてお聞きします。 ○麻生栄作議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 減塩だとか野菜摂取量を増やす取組の成果ということです。 健康寿命日本一に向けて、議員が今おっしゃったように、減塩マイナス3グラム、野菜摂取350グラムを掲げて、おいしく減塩したうま塩メニューや、もっと野菜メニューの普及に務めてきたところです。 現在、うま塩店の159店舗、もっと野菜店の323店舗にメニューの提供をしていただいて、官民挙げての食を通じた健康づくりの機運が高まっているところです。 また、教育委員会等とも連携して、うま塩や野菜たっぷりのレシピを提供して、保育所、学校給食においても1,022施設、17万7,943人に食べていただくなど、子どもたちへの食育にも取り組んでいます。 今後とも、健康でおいしい食事を普及するなど、県民の皆様の食生活の改善に取り組んでいきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 鴛海豊君。 ◆鴛海豊議員 ありがとうございます。豊後高田市では11月の市報に減塩、これは高血圧予防ということで4ページにわたって特集記事を組んでおり、本当に市民に向けて頑張っていますが、そういう中で、やはり食生活、それから運動、さきほど知事もおっしゃいましたが、そういうものが非常に大事だと思っています。 県民が野菜をたくさん食べ、そして健康になるように、ぜひ頑張っていただくようお願いして、次の質問に移ります。 2点目が、健康アプリおおいた歩得についてです。 健康寿命日本一に向けた取組の象徴的な政策として導入されたのが健康アプリおおいた歩得であると思います。健康無関心層の取り込みを図るため開発されたこの県独自のアプリケーションには、継続して使用してもらうための仕組みとして、日常のウォーキングのほか、健診受診、イベント参加によるポイントの付与と、一定ポイントがたまると県内の協力店でサービスを受けられる特典を盛り込んでおり、今年8月時点で約4万7千人が登録していると聞いています。 私もその中の一人ですが、定期的に届く健康に関する情報の閲覧や自分の体調管理など個人的に活用しています。一方で、使いやすさや分かりやすさの面で他の同種のアプリケーションを活用する人も多く、なかなか登録者数が伸びていないようにも見受けられます。 せっかく開発したアプリケーションなので有効に活用していただきたいのですが、これまでのところ想定した効果は実現できているのでしょうか。平成30年第4回定例会において我が会派の森議員の質問に対して、アプリケーションのデータを分析し、市町村等に還元し保健施策の評価や健康増進計画に活用する旨の答弁がありましたが、その後の取組状況はいかがでしょうか。単に情報発信だけではなく貴重なデータの収集、分析は非常に重要であり、今後の健康づくりの政策立案に役立つのではないかと考えます。 健康アプリ「おおいた歩得」の導入効果と今後の活用方法について、福祉保健部長の見解を伺います。 ○麻生栄作議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 健康アプリおおいた歩得についてお答えします。 おおいた歩得は、働く世代の健康無関心層に対して無理をせず楽しみながら生活習慣の改善を図るために開発を行ったものです。11月30日時点で5万1,402人が登録して、20代から50代の働く世代がその8割を占めています。一方、70歳以上の方々の登録も2千人を超えて、幅広い世代に活用されています。 また、職場ぐるみの健康づくりを推進するために、歩得を活用した職場対抗戦も実施しており、昨年度は320チーム、2,699人が参加し、職場の健康づくりやコミュニケーションが活発化したとの声もいただいています。 なお、アプリで収集したデータは、全市町村に提供しており、例えば、中津市では、国民健康保険保健事業実施計画に歩得の登録者数や平均歩数、ミッション参加率をアウトカム指標に設定して、事業計画の見直しに活用しています。また、豊後高田市においては、歩得のミッションを増やすことで、高齢者中心であったイベントに現役世代が多く加わるなど、歩得が有効に活用されています。 今後は、働く世代の心の健康やリフレッシュにつながる活用も検討していきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 鴛海豊君。 ◆鴛海豊議員 ありがとうございました。歩得の活用をよろしくお願いします。これは平成30年4月から実施されたと聞いていますが、今現在、私の状況を申し上げると、昨日現在で39万7,857歩歩いています。これは1年当たりにすると65万9千ですかね、それぐらいの数になると思いますが、1日6千歩以上は歩いている状況です。これは自分で目標を定めており、やはりおいしく晩酌したい。好きなゴルフをいつまでも健康でやりたいと、そういうことから歩得を利用しているわけです。この無関心層に対して、やはり何とか使ってもらうような、歩いてもらえるような方法を考えていただいて、健康寿命日本一に向けて、ぜひ頑張っていただきたいと思います。 次は、ネットワーク・コミュニティによる地域の活性化についてです。 少子高齢化、人口減少の進展は、共同作業や伝統行事の開催などの様々な集落機能の低下へとつながり、県民の安心・安全な生活への影響や地域の活力低下が懸念されます。 今年3月に公表された総務省の調査では、中山間地域の人口規模の小さい集落ほど集落機能の維持が困難となっていることが明らかとなっています。大分県においても、令和2年3月末で全集落の35%が小規模集落となっており、推計によると10年後には44%まで増加する見込みとなっています。 そうした中、大分県では平成20年度を小規模集落対策元年と位置づけて各種取組を強化しており、特に平成27年度からは単独集落では立ち行かない集落を近隣の複数集落の機能で補い合うネットワーク・コミュニティの構築を進めています。 その結果、成果指標であるネットワーク・コミュニティ構成集落数は県下の全集落の38%にあたる1,599集落まで拡大し、地域運営組織などの住民主体の地域を支える組織が数多く設立されてきました。 さらに、昨年の安心・活力・発展プラン2015の見直しにおいては、ネットワーク・コミュニティの構築を強化し、令和6年度末までに県下の約半分の2,125集落まで拡大するとしています。 一方で、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、例えば、地域の高齢者の見守りやサロンが実施できなくなるなど、多くの地域活動が制限されており、既存組織の活動の停滞が懸念されています。 地域の活性化のためには、新しい生活様式の下、既存組織の活動継続やネットワーク・コミュニティのさらなる拡大が重要と考えます。それらに向けた具体的な方策について伺います。 ○麻生栄作議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 ネットワーク・コミュニティによる地域の活性化について御質問をいただきました。 住み慣れた地域に住み続けたいという住民の願いをかなえるため、平成27年度からネットワーク・コミュニティの構築を進めています。個々の集落コミュニティでは、集落機能が低下した、なくなったような集落をネットワークで結んで、そして、集落機能を補い合うネットワーク・コミュニティの構築を平成27年度から進めています。 現在、16市町村で1,599の集落が参加する100の地域コミュニティ組織ができています。 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、多くのコミュニティ組織で活動が大きく制限されています。その中でも、3密回避などの感染防止対策を実践しながら、知恵と工夫を凝らして、地域の支え合いを行った団体もあります。 例えば、国東市の竹田津くらしのサポートセンターかもめでは、住民が集まるサロンを開催できなくなったため、地元の食堂が協力して、見守りも兼ねた弁当の宅配を行い、高齢者を中心に非常に好評でした。 また、臼杵市の上浦・深江振興協議会では、斜面のコケを削って作ったアマビエアートや、打ち上げ花火のオンライン中継を行うなど、住民に大いに元気をつけていただいています。 また、このように、ネットワーク・コミュニティの構築は、本県にとって、地域を守るために大変大事な取組だと思っていて、いろいろ課題もありますが、いろいろ工夫しながら対応して進めています。 一つは、人材の確保や育成についてです。 なかなか人がいないということで、できないこともあるわけですが、地元の豊後高田市の田染地区では、多くの若い移住者が活躍しています。地元に残っていた酒蔵を改修した交流拠点「蔵人」に、移住してきた女性たちが中心となって図書館を立ち上げて、地域のたくさんの人が触れ合う取組を行っています。また、2泊3日の田舎体験ツアーでも先輩移住者として体験談を語るなど、さらなる人材確保につながる取組に貢献しています。 二つは、先端技術の活用です。 日出町の藤原地区では、コロナ禍でひきこもりがちになる高齢者が、安心して買物などに出かけられる取組として、10月からAIを活用したデマンドタクシーの実証実験を行っています。 いろんな方からタクシーの申込みがある、そして、私はこの時間がいい、私はこっちの時間がいいということで、多種多様な要請が出てくるわけですが、それを人工知能で整理しながらデマンドタクシーを運転するということをやっています。 また、地域課題の解決のために、ドローンの実用化を目指しており、県内の離島や小規模集落で、生鮮食料品や医薬品の配送等の実証実験を11月から開始しました。 オンライン診療が最近盛んになっていますが、オンライン診療をして、その結果、この薬を飲んでもらいたいなとお医者さんが診察しても、病院、薬局がないと治療ができないわけですから、そういうときにこのドローンで薬を送ることまで考えようということでやっています。 三つは、このような先進的な取組を県内全域へ展開することです。 研修会や事例集の作成、導入に係る経費の支援等を通じて他の地域へ波及していくとともに、組織設立の初動をサポートするために、大学とも連携しながら、専門家を派遣する取組を今年度から開始しています。 やはり組織ができないと、そういうサービスを常時行うことはなかなか難しいものですから、そういう組織づくりも応援するということです。 こうした取組やきめ細かな対応を図るために、県職員が直接地域に入り、住民と一体となって、課題解決に取り組んで、地域を守り、活性化させていきたいと思っています。 ○麻生栄作議長 鴛海豊君。 ◆鴛海豊議員 ありがとうございました。知事からいろんな先進事例、国東市や日出町の状況など、いろいろ御報告いただきました。ありがとうございます。その中で、私どもの豊後高田市の田染の「蔵人」の事例もお話しいただきました。ありがとうございます。 少子高齢化が進展し、家庭や地域での支え合い機能が低下しているし、地域の存続も危ういところもたくさんあります。そういう中でまた子育てと介護、その二つを掛け持っている家庭もあるので、そのためにいろんな施策を講じていただいていることには感謝申し上げます。 それとまたあわせて、2025年問題がありますね。これは、私より一つ下の年代ですが、団塊の世代が75歳になるという問題、それからまた、社会保障費の急激な増加により、高齢者人口が3,900万人となる日本の高齢化が進んだ状態、最高の状態になる2040年問題もあります。そういう中で、地域コミュニティを守るためには、ぜひ頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。 では、次の質問に移ります。 3点目は、青少年の健全育成についてです。 昨年度、県内の小、中、高生とその保護者を対象に行った青少年のネット利用実態調査結果によると、スマートフォンの利用開始時期は、小学生から利用している高校生は約10%である一方、中学生の場合は約50%であり、また、自分専用のスマホを持つ中学生は約6割いるなど、最近のスマホ利用の急速な低年齢化が見てとれます。また、ネット利用の内容も、小学生の間はゲームや動画視聴が多く、中学生になるとSNSの利用が25.1%から68.6%に急上昇します。それに伴い、やはりSNSなどによるトラブルを経験した子どもたちも増加しているようです。 インターネットを介した詐欺などの犯罪をはじめ、個人情報の暴露、SNS上での個人攻撃による自殺などの報道が毎日のようにあり、利便性の裏側にある負の側面も、やや気になるところです。 今後も、情報技術は劇的な速さで進歩を続けると思うし、コロナ禍でも見られるように、学校での授業もICT化が進んでいくと思います。まさに、これからの青少年は、これまで以上にデジタルネイティブ世代となるわけです。 私は、そうであるからこそ、その適正な利用を小さな頃から教えていくことがますます重要になってくると考えます。よりよい社会を構築していくためには、デジタルの世界だけでなく、実体験を通じて豊かな心を養うことも不可欠な要素だと思っています。 そこで、本県の未来を担う青少年が健全に成長していくため、県として、今後どのような点に力を入れて取り組んでいこうとしているのか、考えをお聞かせください。 ○麻生栄作議長 高橋生活環境部長。 ◎高橋基典生活環境部長 青少年の健全な育成についてお答えします。 県ではこれまで、様々な体験や他者との交流の積み重ねにより、社会性やリーダーシップ、豊かな心を育むため、体験活動等を通じた青少年の健全育成に取り組んできました。 自然体験活動に参加した生徒には、自己肯定感や道徳感、自立的行動習慣が身につく傾向があることが子供・若者白書にも記されています。 一方、デジタル化の進展に伴い、情報収集が容易となる中、議員御指摘のとおり、ネット利用の低年齢化や有害情報の氾濫もあり、情報活用能力が重要となります。 子どもたちからの声としては、「スマホは使えるがネットはうまく活用できない」また、保護者からは「子どものネット利用の実態が分からず不安」などの声が上がっています。 このため県は、子どもたちの情報活用能力向上に向けたICT教育の充実を図るとともに、低年齢層の子どもの保護者に対するフィルタリングの設定などネットの安全利用のための啓発を強化します。 あわせて、引き続き大分県少年の船をはじめとする交流、体験活動を実施するとともに、農業等の産業体験プログラムをさらに充実させていきます。 こうした取組により、社会のグローバル化、デジタル化に適応し、豊かな心と郷土愛にあふれる青少年を育成していきたいと考えています。 ○麻生栄作議長 鴛海豊君。 ◆鴛海豊議員 ありがとうございます。青少年が健康で健やかに成長するためには、やはり我々大人も大変重要であると思うし、令和の時代を迎えて、大分県を担う青少年が良好な環境の中で社会的に自立し、他者に思いやりを持つ個人として心身ともに健やかに成長することは県民全ての願いであり、青少年の健全育成は、大人一人一人に課せられた責務であると思います。 そういう中で、情報社会が大きく進展して、青少年問題はますます多様化、複雑化、深刻化しています。青少年をめぐる諸問題の解決にあたっては、地域ぐるみで犯罪の未然防止を強化し、地域社会全体で子ども、若者を見守り、育てる機運を醸成して、一人一人がそれぞれの立場で役割を果たしていくことが大事であると思っていますので、ぜひそういう方面で頑張っていただきたいと思いますので、よろしくお願いして、次の質問に移ります。 最後に、土木関係について3点伺います。 一つ目は、高速道路等へのアクセス道路の整備についてです。 県内の高速道路は、大分自動車道、東九州自動車道の全線開通、地域高規格道路は、今年10月の中津日田道路日田-山国間の着工など一歩ずつ着実に進捗しています。こうした県内各所を結ぶ高速道路等の整備により、県内だけでなく、県外からの時間距離は大幅に短縮され、人や物の流れが活性化するとともに、今年7月の豪雨災害時においても国道210号が寸断された折には、広域移動の代替手段として大いに活用されました。 その一方で、この高速道路等へのアクセス道路の整備も重要です。港湾や工業団地、地域の主要な都市と高速道路等を結ぶ道路においては、渋滞や交通事故が多く発生し、定時性や速達性の確保ができていない箇所がまだ多く見られます。こうした箇所を可能な限り減らすことは高速道路等のストック効果を十分に活かすために非常に重要です。高速道路等とアクセス道路の結節がうまくできていなければ、地域の経済活動や企業誘致、観光誘客にも支障となるのではないかと懸念しています。 そこで、大分自動車道や東九州自動車道、中津日田道路などの高速道路等へのアクセス道路の整備について、その方針と進め方を土木建築部長に伺います。 ○麻生栄作議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 高速道路などへのアクセス道路の整備についてお答えします。 県では、高速道路などの開通にあわせ、インターチェンジと主要な幹線道路等を結ぶ1次アクセス道路の整備を進めてきました。 その結果、インターチェンジ周辺に商業施設や工場が集積し、住宅団地が整備されるなど、地域に活気を与え、高速道路などのストック効果発現に大きな役割を果たしています。 また、インターチェンジと都市の中心部や主要な港湾、空港等の拠点への経路において、定時性や速達性を向上させることで、物流の効率化、交流人口の増加などが期待され、それぞれの地域のポテンシャルをさらに高めることができるものと考えています。 このため、その拠点への経路における交通渋滞や交通事故の発生、幅員狭小、線形不良などの課題解消にも積極的に取り組んでいます。 例えば、豊後高田市から宇佐インターチェンジ方面への経路では、中津高田線や宇佐本耶馬渓線の整備を、また、日田インターチェンジへの経路では国道212号日田拡幅を進めています。 今後も現在事業中箇所の早期完成に努めながら、高速道路などを活用し、地域の特性を引き出すような道路整備を推進していきます。 ○麻生栄作議長 鴛海豊君。 ◆鴛海豊議員 ありがとうございました。再質問ですが、宇佐国見道路については、宇佐国見高規格道路建設促進期成会が平成8年8月に結成されて、要望活動を積極的に進める中で、平成10年6月に総延長35キロの宇佐-国見間が候補路線に指定されました。その後も期成会は要望活動継続を行ってきましたが、計画路線に承認、指定されることなく、平成20年11月に期成会の活動が休止になりました。 この宇佐国見道路の取扱いと県での位置づけはどうなっているのか伺います。 もう一点、ここ数年継続して県議会土木建築委員長宛てに豊後高田市長から要望している、今年度は10項目になっていると思いますが、このうちの一番重要な中津-豊後高田間における将来を見据えた規格の高い道路網の整備についてです。 要望内容については、部長は御承知と思いますので読み上げませんが、この要望について部長の見解を伺います。 ○麻生栄作議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 まず、宇佐国見道路の取扱いや位置付けですが、宇佐国見道路は平成10年6月に地域高規格道路の候補路線として指定されています。現在は地域高規格道路として事業中の中津日田道路がまだ整備途上です。候補路線である宇佐国見道路の事業化は当面は難しいものかと思っています。そのため、地域高規格道路の機能を代替する国道213号や中津高田線などの現道活用による整備を推進しています。 また、中津-高田間の規格の高い道路の整備についてですが、将来を見据えた規格の高い道路網としては、宇佐国見道路を代替する現道活用による道路整備が該当するものと考えています。現在は、さきほども答えた中津高田線の江須賀・金屋校区や宇佐本耶馬渓線の江須賀校区などの事業を進めています。 事業中区間の早期の供用に努めながら、残る区間の整備についても引き続き検討していきたいと思っています。 ○麻生栄作議長 鴛海豊君。 ◆鴛海豊議員 ありがとうございました。この問題については、私も決算特別委員会の中でも要望し、質問したんですが、部長の答弁を聞くと、中津高田線はまだまだ15、6年かかりますので、いつ高田から中津に行ける状況になるかは、まだまだ先の話ですと。 そういうことで、我々過疎地域に住む住民にとって、いつアクセス道路ができるのか、めどが全く立たない状況です。アクセス道路の必要性は部長も認められたと思いますので、ぜひ、せめて希望が持てる計画を策定していただくよう強く要望します。 次は、県道佐田山香線の整備について伺います。 この道路は、私の地元、豊後高田市の産業の基盤となる大分北部中核工業団地と、東九州自動車道の大分農業文化公園インターチェンジを最短で結ぶアクセス道路です。 御承知のとおり、大分北部中核工業団地には、自動車関連企業をはじめとする15社が進出しており、広瀬知事におかれては、10月に15社目となる自動車関連企業を誘致していただき、誠にありがとうございます。この場をお借りして厚くお礼を申し上げます。 この大分北部中核工業団地は、地域の産業振興とともに雇用の場として重要な拠点となっていますが、豊後高田市は、県内14市で唯一高速道路等のインターチェンジがないため、高速道路等を利用しての通勤や、資材、製品を運搬する場合は、20キロ近く一般道を走らなければなりません。 このような豊後高田市の地理的条件にあって、さらに人流、物流を活性化させるためには、高速道路等へのアクセスが重要となりますが、東九州自動車道の大分農業文化公園インターチェンジに最短でアクセスできる佐田山香線は、道幅の狭い箇所や鋭角に曲がるカーブがあるなど、物流を担う大型車が通行するには困難なため、早期の整備が不可欠と考えています。 私は、これまでに3回、この路線について質問しましたが、そのたびに県執行部から進捗状況と具体的な計画を伺うことができました。今日も県議会に出席するために通ってきましたが、スピード感を持って取り組んでいただけていることを確認できたので、衷心より感謝申し上げます。ありがとうございます。 現地で工事も順調に進み始めましたが、今後の見通しについて、供用開始時期なども含めて伺います。あわせて、佐田山香線と同じくアクセス道路として事業中の久木野尾山浦線の進捗状況についても伺います。 ○麻生栄作議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 大分農業文化公園インターチェンジへの接続について御質問いただきました。 県道佐田山香線では、平成25年度に延長約600メートルのバイパス事業に着手し、本年7月に用地取得が全て完了しました。地域の皆様の御協力に感謝を申し上げます。 昨年度から道路改良工事に着手しており、来年2月までに大分農業文化公園側の現道拡幅部分約200メートルを供用する予定です。 また、日豊本線をまたぐ橋梁についてJR九州と協議が整ったことから、本年10月に工事委託に係る基本協定を締結しました。 今後も、JR九州と工程調整を綿密に行いながら、令和4年度末の開通を目指し、着実に事業を推進していきます。 また、久木野尾山浦線については、平成25年度に延長約1,060メートルの現道拡幅工事に着手しており、既に約700メートルが供用済みです。今年度中に約290メートルを新たに供用する予定です。 ○麻生栄作議長 鴛海豊君。 ◆鴛海豊議員 ありがとうございました。佐田山香線については、JRとの基本協定を行い、令和4年度末開通ということで、傍聴に来ている皆さんも首を長くして待っていますので、ぜひこの予定どおりの進行をよろしくお願いします。 それからまた、久木野尾山浦線についても、ぜひ進捗を早めていただき、我々が早く通れるようにぜひお願いします。 道路の状況を申し上げると、私、通行量調査をしたんですが、11月中、県庁に来るとき、時間帯が違いますが、いろいろ調査して、林道の豊後高田山香線については、大体朝の早い時間帯、今日は7時35分ぐらいでしたが、7時35分から40分ぐらい、早ければ早いほど通行量は多いんですが、大体30台前後の車が通っています。そして10号線を渡って鋭角に曲がる佐田山香線の立石の道路については、久木野尾山浦線を通ってインターまで行くのか、それともその横の佐田山香線をそのまま行くのか。院内山香線は大型車が、特にウイング車というか、ジュラルミンで、アルミで造った、工業団地用ではないかという荷物を運んでいますが、インターに近いほどそういう車が多く通ります。そういう中で、大体、朝の時間帯ではほとんど同じぐらいの通行量があります。だから、豊後高田山香線から鋭角に曲がってインターまでの距離そこまでで大体同じぐらい、林道豊後高田山香線は10分間ぐらい、こちらは15分ぐらいかかりますが、大体同じぐらいの台数が通っています。ただ、昼間の時間帯だとか夕方の時間帯になると、大体半数ぐらいです。林道のほうは少ないです。佐田山香線を通ったほうが多い状況ですので、あとでまた部長に資料をお渡ししますので、ぜひ活用してやっていただきたいと思います。よろしくお願いします。 最後、3点目の建設業の生産性向上についてです。 建設業は、さきほどの道路整備など社会資本の整備の担い手であると同時に、国土強靱化など社会の安全・安心の確保を担っており、地域にとって必要不可欠な存在です。また、老朽化するインフラの戦略的維持管理など地域社会発展の基盤づくりに重要な役割を担っています。 しかし、その建設業は、近年人材不足が顕著となっており、働き方改革、生産性向上が喫緊の課題となっています。そのため、国土交通省では、調査、測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までの全ての建設生産プロセスでICT等を活用する「i-Construction」を推進し、給料がよい、休暇が取れる、希望が持てる新3Kの魅力ある建設現場の実現に向け、2025年までに生産性の2割向上を目指しています。 その「i-Construction」の柱の中の一つとして掲げられているのがICTの全面的な活用であり、具体的な取組として3次元データの活用やICT建設機械による施工などが挙げられています。 また、3次元データを計画、調査、設計段階から維持管理にまで活用していく、いわゆるBIM/CIMの導入によって、一連の建設生産・管理システムにおける受発注者双方の業務効率化・高度化を図りながら生産性の向上に取り組んでいくことが大切であると考えます。 この流れをさらに加速させたのが新型コロナウイルス感染症です。新型コロナウイルスの影響により各分野で働き方改革が進んでいますが、建設業も例外ではなく、建設生産プロセス等の全面的なデジタル化、非接触・リモート型への転換が求められているのではないかと思います。 ICTの導入により、女性や高齢者等の多様な働き手が活躍する機会の拡大や3K職場のイメージの払拭、若者の就職の機運がつくられるなど、建設現場の働き方を大きく変える原動力になるのではないかと期待しています。 そこで伺います。県ではこれまでICT活用工事の試行やICT機器購入に対する補助など様々な施策を展開しています。昨今の情勢を踏まえ、こうした取組をさらに加速させる必要があると思いますが、建設業の生産性向上に向けて、今後どのように取り組んでいくのかお聞かせください。 ○麻生栄作議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 建設業の生産性向上についてお答えします。 建設業界の就労人口減少に対し、省力化による生産性向上を目的として、本県では、平成29年度から土工工事においてICT活用を試行しています。 引き続き、対象工事を拡大しながら、導入の効果や課題の検証を進めていきます。 これまでの試行により、本格導入にはICT建設機械の調達コストが高額であることに加え、普及に向けては、現場の技術者が利便性を実感できていないことも課題と考えます。 このため、ICT建設機械を使わず低コストで取り組む手法として、施工前の測量や施工後の出来形管理等に3次元データを利用する、いわゆるICTの部分活用により、利便性を実感できる体験会を先月開催しました。参加者にも好評であったことから、こうした部分活用に取り組みながら、ICTの浸透を図っていきます。 また、県内のICT導入企業の新入社員から新技術に取り組んでいるからといった志望動機も聞かれており、担い手確保にも有効と認識しています。今後も多様な試行を重ねながら、建設業の生産性向上につなげていきます。 ○麻生栄作議長 鴛海豊君。 ◆鴛海豊議員 ありがとうございました。いろいろ課題があるようです。これからのことだと思いますので、大分県建設業界の発展のためにもぜひ御尽力いただきたいと思いますので、よろしくお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○麻生栄作議長 以上で鴛海豊君の質問及び答弁は終わりました。 暫時休憩します。     午後0時32分 休憩  -------------------------------     午後1時30分 再開 ○嶋幸一副議長 休憩前に引き続き会議を開きます。 一般質問及び質疑を続けます。小嶋秀行君。  〔小嶋議員登壇〕(拍手) ◆小嶋秀行議員 県民クラブ小嶋秀行です。おなかいっぱい御飯を食べましたので、大変厳しい時間帯になるかもしれませんが、しばらくお付き合いいただきたいと思います。 初めに、エネルギー政策について質問します。 新たに発足した菅内閣は、今後の気候変動に関連して、2050年までに温室効果ガス排出量を実質ゼロとすることを宣言しました。これに伴い、国のエネルギー政策もさらに進化したものになると考えられます。とりわけ、再生可能エネルギーの開発は待ったなしになると思いますが、現状では、これからの30年間でどのような対策が取られるのか、必ずしも明確ではありません。 国の動きは不透明な状況にはありますが、温室効果ガス排出量を実質ゼロにする方針は、県の施策にも大きく影響を及ぼすものと考えられます。 県は、本年3月に新エネルギービジョンの中間見直しを行ったところですが、このような国の状況が県のビジョンにどのような影響をもたらすのか、また、そうした環境の変化を捉えながら、今後どのようにエネルギー政策を推進していくのか、知事のお考えをお聞きします。 以下は対面席から質問させていただきます。  〔小嶋議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○嶋幸一副議長 ただいまの小嶋秀行君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 小嶋秀行議員から、県のエネルギー政策の推進について御質問をいただきました。 本県は、豊かな自然環境を重要な地域資源として、多様なエコエネルギーの導入を推進するとともに、エコエネルギーを活用した産業振興や、地域振興に資する取組を推進しています。その取組のよりどころとなるのが、大分県新エネルギービジョンです。 御質問の温室効果ガス実質ゼロを目指す国の方針が、県のビジョンにどのような影響をもたらすかについては、既に再エネルギー自給率全国1位を達成しており、その上で、さらなる導入推進をビジョンの目標として掲げている大分県としては、追い風以外の何者でもないと考えています。2050年という長期的な視点を持ちつつ、ビジョンの目標である2025年に向けて着実に取り組んでいきます。 次の御質問の国の方針を踏まえ県として今後どのようにエネルギー政策を進めていくかについては、次の2点を考えています。 一つは、今後とも再エネや省エネ、水素などのエコエネルギーの導入を、マッチングや省エネ診断など、きめ細かな対応で推進していくこととしていますが、大事なことは、持続可能性の視点です。自然環境や景観、生活環境との調和を懸念する事態も発生しています。エコエネルギーは、大分の豊かな自然の恵みであり、自然と対立するものであってはなりません。自然環境、景観との調和や地域との共存共栄の一層の徹底を図りながら、導入推進を図っていきます。 二つ目は、カーボンニュートラルの動きが新しいビジネスチャンスを生み出すと捉え、企業の取組を後押ししていくことです。 例えば、現在、株式会社デンケンが行っている再生可能エネルギーのみで企業活動を行うRE100の取組を支援しています。 また、日田市のモリショウグループは、地域の未利用間伐材でバイオマス発電を行い、電力を日田市立の全小中学校などに供給しています。発電の排熱は、周辺の農業用ハウスに供給し、低コストのいちご栽培も実現しています。 こうしたエネルギーの地産地消の取組が評価され、今年のおおいた脱炭素杯2020の最優秀賞を受賞されることになりました。過去には、同賞を受賞したT・プラン株式会社の事業が、環境省の低炭素杯2019の受賞につながった例もあります。 このようなSDGsとも整合するビジネスは、これを契機にさらに後押ししていきたいと考えています。 カーボンニュートラルは野心的な目標ですが、本県としては前向きに捉え、今後ともより一層エコエネルギーの高付加価値利用や地産地消での地域課題の解決につながるよう取り組んでいきます。 ○嶋幸一副議長 小嶋秀行君。 ◆小嶋秀行議員 ありがとうございました。私の方で特に把握できていない点もあったので、非常に前に進んでいるなと感じました。 なお、先週でしたか、この2050に向けて国として脱炭素の国民会議をつくる動きもありますし、地方と協議する場も設けるということも新聞報道でありましたから、今、知事から答弁いただいた内容をさらに深めていく機会は、大分県にとっては非常に有利に働くのかなという思いを強くしました。 一方で、一般的に我々県民が、あるいは国民が脱炭素に向けてどのような取組をするかについては、さらに細かくそれぞれ方針を持つ必要があると思うんですが、有識者によると、炭素ゼロということを考えれば、1930年代の生活を想定するということも言われています。その時期はそんなにたくさんCO2の排出がなかったということで、象徴的に60年ぐらい前にさかのぼった生活を想像しながら、我々としては生活を組み立てていかなければならないのかなという思いも一方であるわけです。いずれにしても、2050年のカーボンニュートラルの目標達成に向けては、知事がおっしゃったように省エネルギーを徹底し、再生可能エネルギーを最大限導入しながら、火力発電への依存を大幅に減らすことも重要な取組になっていくものと考えます。 特に、再生可能エネルギーは温室効果ガス抑制と合わせて、災害時のエネルギー供給を確保するという観点でも極めて有効です。県においては再生可能エネルギーを含むエコエネルギーの導入増加に向け、その導入量を令和6年度までに、平成30年度比で約15%増加させるということを新しいビジョンの中で宣言しています。エコエネルギー導入には、エネルギー利用や蓄電等に係る技術開発、コスト低減等の課題が大いにあると思いますが、ここで、エコエネルギーを最大限導入するための取組について、商工観光労働部長のお考えを伺います。 ○嶋幸一副議長 高濱商工観光労働部長。 ◎高濱航商工観光労働部長 エコエネルギーの導入促進についてお答えします。 知事からもお答えしたが、今以上にエコエネルギー導入を進めていく上での県としての大きな課題は、やはり持続可能性をどう図っていくかということと認識しています。 県民、事業者、行政が共働し、自然環境、景観、生活環境との調和や地域との共存共栄を図ることを徹底していくことが必要です。 地熱では好事例も出始めています。株式会社タカフジが九重町において地熱発電とともに熱利用を実施しています。3ヘクタールの農業用ハウスで、パプリカやトマトなどを栽培、地元に40人程度の雇用を生み出し、地域振興にも貢献しています。 また、同じ九重町では、株式会社大林組が地熱発電のプラントを建設中です。水の電気分解により、カーボンフリーな地熱由来100%の水素を製造します。一定期間、県内の事業者に提供していく計画を発表しています。県としては、この機会を捉えて、水素利用者の発掘に取り組んでいく方針です。 エコエネルギーの導入促進については、県として今後も設備導入相談や事業者同士のマッチング、支援制度のアドバイスなど、コーディネーター4名を配置したきめ細かな対応は継続しつつ、課題となっている地域と共存共栄するエコエネルギーの導入推進についてもしっかりと取り組んでいく方針です。 ○嶋幸一副議長 小嶋秀行君。 ◆小嶋秀行議員 さきほど知事の答弁の中に水素の話もありました。私はエコエネルギーと言えば、太陽光とか地熱、風力、水力、バイオマス、廃棄物、それぞれエコエネルギーと言われるものがあるわけですが、なかなか住民側から見ると関心が寄せにくい、自分の手元というか、自分の近くにあるものではないという感じがします。 一方で、水素になると、最近こそエネルギービジョンには記述もちょっと多くなりいろんなところで水素を活用して事業をやることも出てきているようです。ここでお願いというか、提案ですが、水素をさらに開発、活用するときに、子どもたちが20年先、30年先は水素で生活することが多くなると思われるので、今の段階でスマートハウスをつくったり、あるいは水素を利活用できる、水素を開発することがイメージアップできるような展示場というか、そういうものをつくって、早いうちから慣れ親しむ環境づくりをすることはいかがかと思っています。 調べてみると、JR東日本が気動車に水素を使うだとか、あるいは飛行機も2024年ぐらいまでには開発が進むとか、そういうことがだんだん言われ始めているので、大分県としてエコエネルギーをさらに開発していく観点からすれば、水素の展示場的なものをつくるという観点をいかがお考えか、お尋ねしたいと思います。 ○嶋幸一副議長 高濱商工観光労働部長
    ◎高濱航商工観光労働部長 水素の利用促進について御提案をいただきました。 水素は、まさに値段自体を下げるといった取組を含めて、国も目標を定めながら取り組んでいるところです。 県として、その上で国の取組に加え、何ができるかというところについては、今御提案いただいたような内容も含めて、幅広い形で水素の利用、県としてどのような付加価値が出せるかというところを検討していきたいと考えています。 ○嶋幸一副議長 小嶋秀行君。 ◆小嶋秀行議員 ぜひよろしくお願いします。 次に、薬物乱用防止の取組についてです。 最近、名立たる芸能人が薬物の使用で逮捕されるという事件が発生しました。報道によると、被疑者は長期間に及び薬物を使用しており、常習者であった事例もあるようです。なぜ薬物を使用するようになったか、詳細はともかく、社会的に大変大きな影響を及ぼしていることは事実です。 令和元年の日本全体の薬物事犯検挙人数は1万人を超え、高止まりの状況にあり、覚せい剤事犯が全薬物の6割、大麻事犯が3割を占めています。特に、大麻事犯の検挙人数は、若年層を中心に平成26年度以降増加が続き、令和元年には過去最多であった前年を上回る4,570人となっています。 また、2019年の国立精神・神経医療研究センターの研究によると、大麻使用者が増加する背景には、入手機会の増加、大麻使用に対する意識の変化と、危険ドラッグからの転向といったことがあるのではないかと述べられています。特に、大麻使用を肯定する考え方が若年層で広がりつつあり、大麻を使うことに対して、9割以上の一般住民が使うべきではないと考えている一方で、少しなら構わない、あるいは個人の自由と考える者が増加しているとのことでした。 本県において、本年1月以降、特に大麻の摘発が増えているという報道もありますが、県内における薬物乱用に関する現状及び薬物乱用防止に向けた取組状況についてお聞かせください。 ○嶋幸一副議長 廣瀬福祉保健部長。 ◎廣瀬高博福祉保健部長 薬物乱用の現状と乱用防止に向けた取組についてお答えします。 本年10月末における本県の薬物事犯の検挙人員は88人と、前年同月比で24人増加しています。大麻の検挙人員は31人となっており、前年同月比で8人増となっています。4月と6月には大量栽培事案も相次いで発生しています。 薬物乱用防止対策としては、未然防止と再乱用防止が重要だと考えています。未然防止については、特に大麻使用に対する若者の意識の変化が懸念されることから、薬物の恐ろしさを知ってもらうため、県警などと連携し、小中高生及び大学生を対象に薬物乱用防止教室を開催するとともに、ヤング街頭キャンペーンなど、「ダメ。ゼッタイ。」普及運動を実施しています。 また、少年警察ボランティアやライオンズクラブなど437名を薬物乱用防止指導員に委嘱し、それぞれの団体の活動を通じて広く啓発活動を行っていただいています。 乱用防止については、こころとからだの相談支援センターや、保健所における薬物相談をはじめ、民間支援団体の大分DARC、保護観察所等の関係機関と連携した依存症の方の回復支援などに取り組んでいます。 ○嶋幸一副議長 小嶋秀行君。 ◆小嶋秀行議員 さきほど昨年度は4,570人の摘発実績と申しましたが、5年前と比較すると約2.5倍、10歳代が何と7.5倍と新聞報道で明らかにされています。11月26日の日に載っていました。20歳代が約3倍ということですから、取組をさらに強めていくことの重要性がここで非常に言われていると思います。私はそう感じました。今日の新聞も、福岡でしたか、大麻の取扱いで摘発を受けたというのがありました。 最近よくそういうのが載っていますが、私が参加する異業種交流会では、年に一度、中学生を対象として、サッカー大会に参加する生徒に対し、薬物乱用防止教室を開いています。今年はコロナ禍という事情もあり、開催は見送りましたが、これまで参加した生徒からは、改めて話を聞いてとても怖いことだと思いましたなど感想をたくさんいただきます。 ところで、学校現場では、平成30年度まで文部科学省からの照会に基づいて、県下の小、中、高校で薬物乱用防止教室等の取組状況が報告されていました。しかし、令和元年度となる昨年、さらには今年度の活動については、国が学校現場の負担軽減を目的に照会を行わないことにしたことから、県も実施状況等の報告を求めないこととなったように聞きました。 小学生から高校生までの子どもたちに対する薬物乱用防止教室は非常に重要であることはさきほど述べましたが、取組状況が把握されなくなったことによって薬物乱用防止に関わる教育が停滞しないか懸念されるところです。 薬物の害悪を若い頃からしっかりと知ることが乱用防止につながるものと考えますが、教育委員会としてどのようにお考えか、見解をお尋ねします。 ○嶋幸一副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 薬物乱用防止教育についてお答えします。 国の平成30年度からの第5次薬物乱用防止5か年計画では、学校における教育及び啓発の充実が求められています。 学習指導要領に基づく小学校の体育科、中学校及び高等学校の保健体育科の授業はもちろんのこと、道徳、総合的な学習の時間など、様々な機会を捉えて薬物乱用防止教育に取り組んでいます。 防止教室の実施状況については、学校現場での新型コロナウイルス感染症への対応を優先させるため、今年度は調査しないこととされましたが、本県では今年度も例年同様に外部講師を活用するなどした教室の積極的な開催を通知しました。 また、コロナ禍ではありますが、重要な取組であるため、養護教諭や保健体育教諭などを対象とした研修会も例年どおり開催しました。 薬物乱用の防止には、何より危険性、有害性を正しく認識させることが重要であることから、今後も県警や薬剤師会などの協力を得ながら、薬物乱用防止教室を開催するなど、学校教育活動全体を通じて児童生徒の意識の向上に努めます。 ○嶋幸一副議長 小嶋秀行君。 ◆小嶋秀行議員 ありがとうございました。大体実施できているという判断はできると思いますが、今年は、コロナ禍であるから把握をしないのは、今年に限ってはやむを得ないことかもしれないとは思います。 ただ、私が考えるに、乱用防止の教育の在り方は、今までずっと傾向としては教え型というか、子どもたちを前に置いて教えることが中心だったと思います。その方法もなしとは申しませんが、一番大切なことは、乱用するのは子どもたちですから、乱用防止をするためには、その子どもたちが実感を持って薬物はだめなんだと感じられるような学習活動という形に展開を変えていく必要があるのではないか。そうなると、授業数の削減とかで大変なスケジュールになるのかもしれませんが、しかし、本当に薬物の乱用防止を充実させていく、それを高めていくことになれば、子どもたちが自分たちで調べて、そして、お互いに共有できる学習の場を今後は展開する必要があるのではないかという点について、1点だけお聞かせいただきたいと思います。学習の方法です。 ○嶋幸一副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 今、かつてのように授業の在り方が、教師が前に立って、子どもにこうだと講義をする形ではなくて、学習指導要領全体で主体的、対話的で深い学びの実現をあらゆる授業の現場で実践をする必要があると。これについても、もちろん自分たちで調べる、そして、どういう害があるのかということも自分たちで納得していくことが大事だと思っているので、そういった主体的な取組という形はいろんな場面で取り入れていくことが大事だと思っています。 ○嶋幸一副議長 小嶋秀行君。 ◆小嶋秀行議員 どうぞよろしくお願いします。大体の方向性を確認できたので次に移ります。 今年は日本列島に台風の上陸がゼロという怪記録が残るのではないかと言われる一方で、集中豪雨による水害が多発し、異常気象が進んでいることを強く感じる1年となりました。 令和2年7月豪雨災害では、河川の氾濫によって、本県のみならず、近隣県においても大きな被害が発生しています。当然のことではありますが、災害に県境はないことを改めて感じます。 防災・減災の観点から、治水、砂防、護岸、治山をはじめとする防災インフラの整備は重要な課題ですが、市町村との連携が重要になるのではないかと思います。 そこで伺います。県と市町村が連携した防災インフラの整備に向けてどのように取り組んでいるのでしょうか。また、県境を越えた防災インフラの広域的な整備に関し、どのようにお考えでしょうか、知事の御見解をお聞かせください。 ○嶋幸一副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 防災インフラの整備について御質問をいただきました。 近年、数十年に一度と言われる規模の台風や集中豪雨が全国各地で、それも毎年のように発生しており、被害も甚大に及んでいます。 7月の記録的な豪雨では、日田市や由布市などを中心に、県内各地で過去最大規模の被害を受けました。いまだに元の生活に戻れない被災者のことも心配です。改めて、大規模災害から県民の命を守るため、県土強靱化の加速前進を強く決意しています。 議員御指摘のとおり、取組に当たっては、県と市町村が連携しながら整備を進めていくことが大変大事だと思います。 治水対策では、天ヶ瀬温泉や国道210号が被災した玖珠川などで、改良復旧による再度災害防止に加え、流域の自治体や国、企業、住民など、あらゆる関係者が集まって治水機能を分担する流域治水の取組を進めています。 また、土砂災害対策では、治山や急傾斜地の事業に当たって、保全対象の戸数などに応じて、県と市町村が役割分担しながら整備を進めています。 さらに、住民の適切な避難行動を促すために、河川水位計や監視カメラの整備、ハザードマップの作成など、市町村と連携した防災情報提供の強化にも取り組んでいます。 次に、県境を越えて広域的に機能するインフラ整備も重要です。 広域道路ネットワークは、災害時の救急救命活動、支援物資の輸送やリダンダンシーを確保する命の道です。熊本地震の際には、中九州横断道路が大分の製油所から熊本へガソリンや発電用の軽油の輸送路として大変重要な役割を果たしたところです。今後も、国や熊本県と連携しながら、竹田阿蘇道路をはじめとしたミッシングリンクの早期解消に取り組みます。 また、九州の東の玄関口である別府港、大分港は、人流、物流の拠点であるとともに、災害時には物資輸送の拠点となることから、巨大地震に備えた岸壁の耐震化などを進めています。 加えて、南海トラフ地震発生時における大規模な広域防災拠点として、国の計画にも位置づけられている大分スポーツ公園では、広域の医療搬送や物資輸送などの多面的な機能を整えています。 こうした強靱化対策は、今なお道半ばです。国の3か年緊急対策は、今年度最終年となることから、先月、全国知事会の国土交通常任委員長として、5か年計画で別枠による予算確保など、新たな枠組みづくりを総理大臣に対して強く訴えてきたところです。 今後とも、国や隣接県、市町村と連携しながら、県民の命と暮らしを守る強靱な県土づくりに全力で取り組んでいきます。 ○嶋幸一副議長 小嶋秀行君。 ◆小嶋秀行議員 ありがとうございました。 今述べられたように、3か年が5か年に伸びて、予算が少し増えたと。強靱化関係の予算が増えたという情報はマスコミなどでも流れていましたから、これはこれから被災したところにとっては非常に朗報になるのではないかと思います。その具体的な改善策をしっかり示していただかなければならないと考えているところです。 平成30年の第4回定例会で、羽野議員が流域治水も含めていろいろ議論して、知事からもいくつか答弁をいただいています。その点を含めて理解しているところですが、何といっても、今年の雨は現状の河川では耐えきれないことが明らかなわけです。能力に限界があることを改めて思い知らされました。 会派で被災した地域の調査に赴き、氾濫した河川の流域に住む皆さんの声や、流域自治体としての今後の対応策に関する考え方などについての御意見を改めて伺いましたが、特に河川改修と流域における人々のなりわい再建の両立に当たり、それぞれの被災地において大変な御苦労や判断があることを痛切に感じた次第です。 このような状況を未然に防ぐためには、常日頃から治水の在り方を検討し続ける必要があります。 今回の災害に関しては、既に被災自治体ごとに策定された復旧・復興推進計画に基づいて取組が進められているところです。また抜本的な治水対策として、総合治水プランを策定中であると、さきの代表質問でも答弁をいただいたところですが、県境をまたいで流れる河川の治水には、流域の自治体間で連携しながら、その在り方を模索する流域治水の考え方に沿った取組が必要であると考えます。 今回、氾濫したそれぞれの河川の治水対策にどのように取り組まれようとしているのか、土木建築部長のお考えをお聞かせください。 ○嶋幸一副議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 河川氾濫地域における治水対策についてお答えします。 7月豪雨では、筑後川水系や大分川水系で、観測史上最高の水位を記録し、各所で大規模な浸水被害が発生しました。 県では、復旧・復興推進計画に基づき、国や市町と連携しつつ、建設業界の御支援も受けながら、全力で治水対策を進めています。 日田市湯山や赤岩の玖珠川と、由布市湯平の花合野川では、道路や護岸等の復旧と併せて、川幅を拡げる改良復旧を行う予定です。 久大本線の鉄道橋が流出した九重町右田の野上川では、川幅を広げ、橋梁や堰を改築する河川改修の事業化を目指しています。住民の不安解消のためにも、次期出水期に間に合うよう、早急に河床掘削や護岸復旧を進めていきます。 また、由布市下市の大分川などでは、隣接する国管理区間と一体的な治水効果が発現できるよう、護岸のかさ上げや河床掘削を準備中です。 なお、天ヶ瀬温泉街を流れる玖珠川では、温泉街の存続と河川改修の両立が課題と認識しています。地元の御意見を丁寧に伺いながら、流域治水の考え方も取り入れ、浸水対策の検討を進めています。 今後も各河川の特性や地域の実情を考慮し、原形復旧にとどまらず、改良復旧や河川改修に取り組んでいきます。 ○嶋幸一副議長 小嶋秀行君。 ◆小嶋秀行議員 検討が進んでいる様子が理解できました。 私たちの会派で、現地に伺った折、特に花合野川の流域の方々と話をしたときに、これがどういう情報かは細かく精査できなかったんですが、河川がああやって大量の雨であふれた。その少し前に、山の木を随分たくさんの車の台数分切り出したということもあるようだと言われていました。 どこまでが情報として正しいかは精査できていませんが、ただ、場合によっては木を切り出して山を回転させていく、切る時期に来ている木を切って新しく植えるという営みがあった中で大雨が降って、保水力が少なくなって流出したということがもしあったとするならば、これは地域の皆さん方でしっかり話し合いをして、木の切り出し方などについても議論していただかなければならないなと思うわけです。それはそれとして、課題として上がってくると思います。 湯平にしても、日田の玖珠川にしても、あまり川幅を拡げると地域のなりわいが成り立たなくなるという問題もあると思います。ですから、そういうところに関しては、観点は変わりますが、熊本では流水ダムの計画も話としては出てきているようです。 このたび被災した地域において、流水ダムのように川をせき止めることを検討しているかについていかがでしょうか、再質問します。 ○嶋幸一副議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 現段階では治水用のダムについての検討を具体的にしているということはありません。流域治水の考え方、多様な対策を組み合わせてという考え方の中で、今後の検討課題かなと思っています。 ○嶋幸一副議長 小嶋秀行君。 ◆小嶋秀行議員 ありがとうございました。 一般的に流域治水となると、ちょうど出水期は田んぼが実っている時期でもあります。田んぼに水をためたりということも今後は場合によっては考えていかなければならないことかもしれませんが、そこは地域の皆さんとしっかりした合意を取っていただいて、知事がおっしゃったように命を守るための対策をぜひ充実させていただくよう、よろしくお願いします。 それでは、次に移ります。 先日、久しぶりに東九州自動車道田野インターチェンジまで走行する機会がありました。平成28年に県の努力が実って、予定より数年早く念願かなって北九州から宮崎、鹿児島までが一つに結ばれました。東九州自動車道の完成により、九州内の高速道路網がループ状に完成したことでの沿線地域における経済効果は多大なものがあると思います。 事実、このコロナ禍前では、交通量も年を追うごとに増えており、観光、ビジネス客にとって欠くことのできない道路網となっています。 御承知のとおり、この高速道路は、途中、佐伯から北川までが、いわゆる新直轄方式で建設されたことから、西日本高速道路株式会社ではなく、国土交通省が直接管理する道路となっています。その結果、この間は現在無料区間として供用されていますが、ある意味では利用者にとって経済的に意味深い区間とも言えます。 ただ、そのせいか、高速道路としての管理が必ずしも十分に行き届いておらず、路面が疲弊している場所が目立っています。走行安定性が保たれていないような感じもあります。 さらに、現在GoToキャンペーンも実施されており、コロナ禍においても、物流やGoToキャンペーンによる人の往来を支える基盤となる道路、とりわけこの新直轄道路区間の管理改善に関する考え方と対処策をお聞かせください。 ○嶋幸一副議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 新直轄道路区間の管理改善について御質問いただきました。 東九州自動車道の新直轄区間は、国土交通省延岡河川国道事務所が管理しています。 国からは、道路維持管理計画に基づき、道路パトロールや点検を実施し、良好な状態に保つよう維持修繕することで、一般交通に支障を及ぼさないように努めていると聞いています。 また、舗装修繕工事については、現地状況を確認しながら必要な箇所を選定し、適宜行っているとのことでした。 今年度は11月24日から12月19日までの間、夜間全面通行止めにして、青山地区や蒲江インターチェンジ付近などの舗装の修繕工事を進めています。 議員御指摘のとおり、路面に課題のある区間も見受けられます。 東九州自動車道は、本県の社会経済活動や広域観光、救急救命を支える活力の道、命の道です。県としても、適切な維持管理を国へ強く働きかけていきます。 ○嶋幸一副議長 小嶋秀行君。 ◆小嶋秀行議員 改善の計画もあるということで安堵しました。 今回、こういう発言をさせていただくことで、当初は県の管理じゃないからという話もあったのですが、そういう話を持っていくところがよく分からなかったというのも単純にあります。ただ、田野まで走ったのは、観光ではなく、急ぎの用があった。急ぎの用のある利用者にとっては、多少スピードを出しますね。多少スピードを出すと路面があまりよくない場合は非常に走行安定性がよくないのを感じました。それと、トンネルが多くて道幅が狭いですね、当然のこととして。そして、宇佐から日出までの間には横に1台ぐらいがちゃんと小休止できるような幅をとってあるんですね。宇佐から日出までの間にはいくつもあります。でも、宮崎までの間はこの幅がなくて、本当に、ちょっと睡魔が襲ったときにはスピードを緩めて安全な運転をするのは当然のことですが、そういうふうな余裕がなかったと指摘できるのではないかと思います。 ですから、改善する計画の中に、将来的にはちょっと幅寄せして休憩できるところ、睡魔を取り除くことができるところが確保できると、さらに利用も上がってくるんではないかと感じました。この点はぜひ要望したいと思います。 それから、直接この国交省の管理道路とは関係ないんですが、前の議会で高速道路の松岡パーキングエリアにスマートインターチェンジをつけたらどうかというお話をしたことがあります。その際には、長期的な課題として検討しますというお話でした。その後、いろんな議員からの発言もあって随分進んできているのではないかと思うんですが、高速道路の利便性を高める観点から再質問ですが、松岡パーキングエリアからのスマートICの建設について、検討状況とか進捗状況をお聞かせください。 ○嶋幸一副議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 松岡スマートICの整備については、今、大分市の交通円滑化の検討の中で可能性について検討を進めています。 接続による効果も確認されていますが、実際接続するとなると手続を踏んでいかないといけないということと、まず事業主体になる大分市の考えもあるかと思うので、県としても一緒になって取り組んでいきたいと思っています。 ○嶋幸一副議長 小嶋秀行君。 ◆小嶋秀行議員 可能性があるということで、ぜひ早目に進めていただいて、周辺地域としては大型団地を控えていますからね。ビッグアイもあるし、利用価値はあると思うので、ぜひ大分市と話をうまく進めて、積極的に進めていただくよう改めてお願いします。 それでは、最後の質問に移ります。 次は都市計画の基本的な考え方を踏まえた見解をお聞きします。 既に一度一般質問を行った大分市西部地域で発生している問題です。 この地域には、主として第一種低層住居専用地域が広大に広がる中央部に、わずかな面積で近隣商業地域があり、以前はその用途どおりにスーパーマーケットが立地していました。しかし、これが撤退し、その後、長く空き地になっていましたが、高層の共同住宅の話が持ち上がり、今では団地開発時開発業者等との約束が反故にされ、地域住民の猛反対を押し切る形で、既に巨大な13階建ての分譲マンションが建設されるに至りました。 都市計画の基本的な理念には当然、まちづくりの考え方が含まれると思います。第一種低層住居専用地域を色分けして指定している広大な地域の中にある近隣商業地域の色分けの中に、高層マンション建設が可能との明確な規定はないと思います。 ただ逆に、第一種低層住居専用地域には高さ制限が10メートルということですが、近隣商業地域には高さ制限がなく、マンションなど建設してはいけないという規定も確かにありません。建ぺい率や容積率の数字からも、その可能性は否定されてはおりません。 しかし、繰り返し述べますが、広大に第一種低層住居専用地域が広がっている中での近隣商業地域は、あくまで主として商業施設等をイメージしているとしか考えられません。 そこで私は、今回のような都市計画上のルールに対して、都市計画やまちづくりの基本的な考え方が形骸化、あるいはそうした考え方がないがしろにされていると思えてなりません。そこにある意味では死角が生じたのかもしれません。 県は、大分市域において直接の建設許可権限を有してはいませんが、一方で、大分市に限らず、用途地域指定は市町村で決定し、知事への協議が必要になっています。このため、県はまちづくりという観点から、都市計画そのものの形骸化傾向に対し意見をする立場にあると考えます。 県民主体、住民主体の県政、まちづくりの観点から、県としてこの問題をどのようにお考えになりますか、見解をお聞かせください。 ○嶋幸一副議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 近隣商業地域でのマンション建設について御質問をいただきました。 本格的な人口減少、少子高齢社会を迎え、都市機能の集約と連携によるまちづくりが求められている中、現在の用途地域指定による土地利用規制のみでは、今後様々な課題に対応できなくなることが想定されます。 このようなことから、県では現在、広域的な見地から都市の将来像や方向性を示す都市計画区域マスタープランの改訂を進めています。 市町はこれに即して、より地域に密着した見地から、都市計画マスタープランや立地適正化計画を策定し、まちづくりの基本方針を示すこととしています。 この市町の計画策定に当たっては、県との協議が必要となることから、安全で暮らしやすいまちとなるよう、用途地域の見直しの必要性や、地区計画等の活用も含め、適宜市町に助言をしていきます。 また、まちづくり懇談会などを通じて、都市計画の制度や事例を住民に紹介するとともに、地域の意向や実情を把握し、計画などに反映させていく予定です。 今後も、地域にふさわしい土地利用や県民主体のきめ細やかなまちづくりが行われるよう、市町とともに努めていきます。 ○嶋幸一副議長 小嶋秀行君。 ◆小嶋秀行議員 ありがとうございました。少し検討が進んでいるので安心しましたが、さきの発言のときに、地域計画を助言いただいたんですが、その時点では、地域計画そのものの成り立ちが土地の所有者の了解が得られずに、ほとんど成就しなかった経過があります。 ですから、地域計画を策定するのであれば、そういう土地が空いた時点で、県なり、市から問題提起をして、近隣商業地域だが、ここにこれからまちづくりをしていく上においてはマンションが建っちゃ困るであろうから、そういうものについては早目に議論していく必要がありますねという助言などもぜひここは強くしていっていただく。 それからもう一点は市町村、特に許可権限を有している市町については、建設をするに当たっての環境、条件などについては了解をすることが、その土地にマンションを建てていいですよという了解をすることと錯覚しているのかもしれないというぐらいの議論がありました。私が感じるには、大分市として、あるいは自治体として、まちづくりしていくには、ここでは規制は数字、あるいは規定としてはないが、しっかり考えてもらわなきゃなりませんねということを、地主の方々ともフランクに話ができる環境もぜひつくっていただかなければと思っています。 県だから、あるいは市だから規制ができるという立場ではないんですが、まちづくりという観点は地域の皆さんとの相談の中でその地域を活性化させていくということが一つの大きな目的になると思うので、その点ぜひ県として、指導できる立場にあるのかどうか分かりませんが、議論する機会があれば助言をいただけるとありがたいと考えています。 マンションができ上がってしまいました。上り上がった頂点に13階建て、30メートルのマンションが建っていますから、非常に違和感があります。建ってしまった上においてはやむを得ないとは思います。そのことに対してとやかく言っているわけではありませんが、都市計画上の考え方の整理は、こういう機会にぜひやっていただくことが肝要かという点を強調させていただいて、一般質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○嶋幸一副議長 以上で小嶋秀行君の質問及び答弁は終わりました。 森誠一君。  〔森議員登壇〕(拍手) ◆森誠一議員 皆さんこんにちは。9番自由民主党の森誠一です。本定例会において質問の機会をいただいたこと、先輩、同僚議員の皆様に感謝します。 そして、本日、傍聴にお越しいただいた皆様、またインターネット中継を御覧の皆様、本当にありがとうございます。 まず冒頭、10月19日に御逝去された濱田洋先生、また9月には油布勝秀先生、昨年引退されましたが、御逝去されました。私もお二人の先輩には会派の中で、また委員会の中で御一緒させていただき、たくさんの御指導をいただきました。お二人の御功績に深甚なる敬意と感謝を申し上げるとともに、心から哀悼の意を表します。そして、私どもも濱田先生、油布先生の思いをしっかり受け継いでいきたいと思います。 今回はお二人も熱心に取り組まれていた畜産振興をはじめ、延期された山の日など、自然環境保全に関すること、また地元、豊後大野市の課題について議論していきたいと思いますので、知事はじめ、執行部の皆様よろしくお願いします。 それでは、質問に入ります。 まず、畜産振興について、肉用牛の振興について特に伺います。 我が国の牛肉の需給動向を見てみると、2019年度の牛肉国内消費量は93万7千トンであって、米国でのBSE発生前の水準まで回復しています。国内生産量は近年減少傾向で推移していましたが、国の畜産クラスター事業への取組などにより33万トンまで回復し、現在の牛肉の自給率は重量ベースで35%となっています。 輸入についてみると、2019年度は62万3千トンで、米国からが24万6千トン、オーストラリアからが29万1千トン、他にニュージーランド、カナダからの輸入となっています。牛肉の市場は世界的に拡大しており、特に中国の牛肉輸入量は2007年には1万トンだったものが、2017年、10年後には106倍の106万トン、今後2027年には175万トンまで増加すると見込まれているそうです。このようにアジア諸国の牛肉需要は急激に伸びており、牛肉の輸入競争が本格化されることも想定されているため、今後は国内生産の振興が重要になっていくと考えます。 このような状況の中、本県においては昨年、大分県肉用牛振興計画を策定しました。重点目標として2019年から2023年までの5か年における生産基盤の強化や品質、収益性の向上など具体的な戦略を掲げ、関係者と連携した取組が始められたところです。 また、昨年度の大分県農林水産業振興計画の見直しの議論を踏まえ、産出額や繁殖雌牛頭数の上方修正や飼養管理マニュアルの普及などの具体的な取組を追加するなど改訂が行われ、戦略がさらに強化されました。 一方で、県は10月20日にリーディングブランドおおいた和牛の認知度向上に向け、おおいた和牛推しプロジェクトをスタートし、歌舞伎俳優の中村獅童さんをPR大使に、イベントやメディアへの情報発信を行っています。 しかし、現在も拡大している新型コロナウイルス感染症は、今後の牛肉消費や子牛市場相場、枝肉価格などにも影響を与えていくと思われます。コロナ禍において、県は学校給食への食材提供やクラウドファンディングを活用した県民をターゲットとした消費拡大に向けた取組を行ってきました。今後の戦略においても、県外におけるプロモーション、輸出に向けた取組ももちろん重要ですが、足下における県内での消費拡大に向けた取組も重要と考えます。 以上を踏まえ、試験研究、繁殖、肥育、そして流通消費までの肉用牛振興における現在の状況と課題、そして今後の取組について、知事の見解をお聞かせください。 以後、対面席から質問します。  〔森議員、対面演壇横の待機席へ移動〕 ○嶋幸一副議長 ただいまの森誠一君の質問に対する答弁を求めます。広瀬知事。  〔広瀬知事登壇〕 ◎広瀬勝貞知事 森誠一議員から肉用牛の振興について御質問いただきました。 本県の肉用牛は、優良雌牛の導入支援や肥育預託制度の導入などの取組により繁殖、肥育ともに頭数が回復、増加し、着実に力強さを取り戻しています。 流通面においても、おおいた和牛の立ち上げ以降、国内の取扱店は165店舗まで拡大しています。輸出も畜産公社の対米輸出認定の取得などにより、令和元年度は前年度のほぼ倍増となる14トンになりました。 しかし、新型コロナ感染症の影響による外食産業やインバウンド需要の低迷により、高級品である和牛肉は苦戦を強いられ、昨年3月に比べ枝肉価格が最大で34%、子牛価格も26%下落するなど、今後の見通しに不安が広がりました。 そのため、県産子牛を導入する肥育農家に1頭2万円の奨励金を交付するとともに、おおいた和牛の学校給食への提供や消費拡大キャンペーン、Web物産展を実施するなど、生産から流通、消費まで各段階の取組を支援し、不安払拭を図ったところです。 こうした中、今後の肉用牛振興には、まず生産基盤の強化が必要です。引き続き畜産クラスター事業等で施設整備や増頭を支援するとともに、分娩間隔の短縮や事故率の低減のため、ICT技術の活用を推進します。また、親元就農に加え、地域内で働きながら飼養技術を取得できるように異業種からの就農希望者を肉用牛ヘルパー組織へと橋渡しする環境を整備するなど、担い手確保を進めていきます。 品質、収益性の向上も重要です。ゲノム育種価の評価技術を活用して造成した、全国的にも産肉能力の高い種雄牛、葵白清などの産子は、本年6月の子牛市場から出荷され、高い評価を得ています。また、枝肉の重量や質を改善するため、繁殖から肥育まで一体的に農家を指導する体制を強化します。さらには、和牛本来の香りやおいしさにこだわった他県にない大分らしさの構築に挑戦していきます。 流通面では、県外対策として大消費地のおおいた和牛の認知度向上と販路拡大を進めます。今月、銀座の料理店12店舗で1か月間のフェアをおおいた和牛推し隊長の中村獅童さんにPRしていただき開催します。これを足がかりに、首都圏で買える店舗を100店舗に拡大していきます。 県内対策としても、生産者と連携した若い世代へのPRにより家庭消費を喚起するとともに、旅館、ホテルとタイアップしたフェアの開催により観光客への消費拡大を図ります。 これらの取組を通じ、全国トップレベルの肉用牛産地を目指したいと思います。 ○嶋幸一副議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 知事、ありがとうございました。 今、知事が言われた答弁の中で、輸出について議論したいと思います。 一昨日の11月30日に政府は、農林水産物、食品の輸出拡大のための関係閣僚会議を開き、農林水産物等の輸出を2025年までに2兆円、2030年、10年後までに5兆円に伸ばす目標の達成に向けた実行戦略を決定したところです。 重点27品目の中で、特に和牛に関しては現在約300億円の輸出額を5年後には5.3倍の1,600億円を目指すとしています。この27品目の中で1,000億円を超えているのは牛肉のみです。27品目の中で一番大きな額を占めているということです。輸出額1,000億円以上のターゲット国を見てみると、中国が400億円、香港が330億円、台湾が239億円、米国が185億円、EUが104億円になっています。 また、戦略の中では国内においてモデル輸出産地を国内に15産地つくるということで、生産から輸出まで一貫して取り組むコンソーシアムをそれぞれ構築し、輸出先国が要求する条件への対応や食肉処理施設整備等も盛り込まれています。大分県畜産公社はしっかり対米認定、また香港等への認定の許可を今取っているところですが、そういった本県の肉用牛振興計画では、この食肉センターにおける販売流通戦略は明記されていますが、輸出に関する具体的な記述がありません。さきほど述べた政府の戦略からも今後の牛肉輸出への取組が重要となってくると考えられます。牛肉輸出について県として今後どのように取り組んでいくのか、農林水産部長に伺います。 ○嶋幸一副議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 和牛の輸出についてお答えします。 和牛の輸出については、目標として輸出の戦略、県の農林水産物の輸出の戦略の中で、令和6年に23トンを目指すという目標を掲げ、取り組むこととしています。 輸出の状況については、さきほど質問にもあったように、畜産公社と連携しながら、平成24年度から公社が海外に輸出の認定施設としての認定を受けてきています。 現在、10の国・地域と輸出できる状況になっています。平成29年度に輸出を開始した台湾に向けては、現在6.7トン、さらに昨年、施設認定を行った香港に向けては3.7トンということで、さきほど知事がお答えしたように、前年に比べ6.4トン増の14トンとなっています。これをさきほど申したように23トンに増やす取組を進めていきます。 その中で、中国や米国、まだまだ輸出は進んでいませんが、今後そういった国に対してしっかり現地のバイヤーとの商談だったり、そういったところを重ねながら輸出を増やしていきたいと考えています。 ○嶋幸一副議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 ありがとうございました。おおいた和牛としての輸出に関しては今の数字だろうと思います。実際、今、畜産公社では県外牛肉の輸出向けと畜等もあるのであれなんですが、今30トンぐらい既に取り扱っていると聞いています。政府の方針も踏まえ、今後、輸出に向けたしっかりとした戦略が必要と思います。引き続きよろしくお願いします。 これに関連して、さきほど知事からもありましたが、2番目の質問として、肉用牛の品質及び収益性の向上について議論していきたいと思います。 素牛導入費が依然として高止まりの状況にあり、肥育経営が逼迫している中で、大分県の枝肉は他県に比べ販売価格や枝肉重量が低いため、牛マルキンの補填額も他県に比べて大きくなっています。 毎年開催されている九州管内系統和牛枝肉共励会における大分県産牛の枝肉の成績は、近年、他県に比べて評価が低くなっています。その要因として皮下脂肪が厚いこと、つまり歩留りが悪いと言いますが、これが指摘されています。 県は振興計画の中で、枝肉重量の向上と肉質の改善に取り組むとしており、肥育に適した子牛育成のための指導や肥育マニュアルの作成、農場の飼養管理情報の収集、分析を強化することを盛り込んでいます。このことからも、県として今後は枝肉の枝重、ロース、バラ、皮下脂肪のバランス、つまり歩留りの改善についてしっかりと取り組んでいく必要があると考えます。 特に枝肉のバランスには子牛の時期にあげる餌、給餌の内容や方法が重要であるとされていますが、子牛の肥育成績や流通に至るまでの情報が肝心の子牛を育てる繁殖農家にフィードバックされていないのが課題だと考えています。これらは本県の肉用牛振興において改善すべき点だと言えます。 肉用牛の品質及び収益性向上に向け、県として今後どのように取り組んでいくのか、農林水産部長の見解を伺います。 ○嶋幸一副議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 肉用牛の品質、収益性の向上についてお答えします。 平成20年当時、本県の去勢牛の平均BMSナンバー、脂肪交雑は全国40位の5.2、枝肉の重量に関しては38位の464.1キロ、歩留りは46位の72.9%と低迷していました。 県としては、こういった状況を踏まえ、平成25年に肥育指導体制を強化してきました。その結果、令和元年にはBMSナンバー、脂肪交雑は全国の21位、7.6まで上昇してきました。 他方で歩留りや、御指摘いただいている皮下脂肪厚等については依然として枝肉バランスの改善に遅れがある状況です。そういったことから、肥育農家が求める質と量を兼ね備えた収益性の高い素牛を生産することを目指し、子牛の哺育期から適切な腹づくり、要は一つ目の胃をしっかり育てる腹づくりを行えるよう、今年から繁殖から肥育までを一体的に指導する体制を再編して指導強化しているところです。 もう一つ御指摘のあった高能力な雌牛を保留するため、繁殖農家等にフィードバッグしてきた肥育の枝肉成績については、牛を育てた肥育農家の経営情報といった観点から、平成20年頃から利用が制限されてきている状況にあるため、県としては高能力な繁殖雌牛の増頭に向け、兄姉牛の肥育成績から能力を分析する推定育種価という制度を取り、農家の方に提供しています。さらに、昨年度からは遺伝子配列によって高精度に産肉能力を推定できるゲノム育種価評価の活用を推進しており、その活用にあたって、検査費用の一部も支援しています。 今後は生産者、流通業者、消費者が協働して枝肉バランスを改善するとともに、サシ重視からおいしさなど、他県にない付加価値の創出に挑戦し、もうかる畜産業を実現していきたいと思います。 ○嶋幸一副議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 ありがとうございました。 関係者の方にお話を聞くと、子牛を市場で売ってしまったらそこで縁が切れてしまうとか、肥育の枝肉になったらそこで縁が切れてしまう、そこの連携がこれまでしっかり取れていなかった部分があり、また情報がフィードバッグされないので、見た目のよい、ちょっと太らせた子牛を育てて、餌やりの状況で育ててしまう。そのことで結果としてバランスが悪い枝肉ができてしまうと聞いているので、今後、その点をしっかり取り組んでほしいと思うし、ゲノム育種価の活用で4等級、5等級の数も増え、その率も上がっていますが、消費者が本当にそういった肉を望んでいるのかもしっかり考えなければならないと思います。脂っこい肉が大好きな方もいるし、赤身が好きな方もいます。 決して4等級、5等級ばかりを目指さなくても、またおいしいお肉、部位をしっかりバランスよく育てることが重要だと思うので、その点、やはり消費者のニーズに合った牛をつくること、また、海外向けにはそれなりの戦略を持っていい牛をつくり、また輸出できるように引き続き努力をお願いします。私どももしっかり応援していきたいと思うので、よろしくお願いします。 それでは、次の質問に移ります。 自然環境保護行政について、まずは自然環境の保全と活用について知事に伺います。 本県の面積6,340平方キロのうち国立公園や国定公園、県立自然公園など自然公園の面積は1,743平方キロで、県土の約28%が指定されていることになります。また、急峻な山岳地形を持ち、多様かつ希少な動植物が生息する祖母・傾・大崩ユネスコエコパークや、世界農業遺産に認定された国東半島宇佐地域、地質、地形、そして文化などを活かした活動が評価された姫島、そして豊後大野のジオパークなど、本県はまさに豊かな自然環境の宝庫と言えます。また、この自然環境の魅力に惹かれて移住を決めた方も多くおられます。 東京オリンピックのカヌー・スラローム女子カヤックシングル日本代表の矢澤亜季選手が、先月、豊後大野市のリバーパーク犬飼で強化合宿を2週間ほどされていました。そして、私もお話を伺う機会がありました。来年のオリンピックに出場する矢澤選手は長野県飯田市出身で、現在は東京の企業に所属しています。4年前のリオ五輪にも出場、一昨年のアジア大会では日本勢女子初の金メダルを獲得した選手です。矢澤選手は大分県の河川環境はもちろんですが、海や山を含む豊かな自然が大好きだと語ってくれました。 また、先日、豊後大野市ふるさと大使に委嘱されましたが、新聞に載ったときのコメントで、将来はリバーパークを拠点に世界で戦う選手を育てたいと、うれしい言葉をいただいています。まだ29歳の方です。 コロナ禍におけるパラダイムシフトの中で、地方創生を加速していくには、本県の豊かな自然を次世代へつなげつつ、さらなる活用を図っていくことが大変重要と考えます。 今年8月に予定されていた第5回山の日記念全国大会は来年に延期され、開催されることとなりましたが、このような機会を活用し、本県の誇るべき自然環境を全国に発信し、大分ファンを増やしていく必要があると思います。あわせて、県民についても、自然を保護する意識と身近にある自然環境が世界でも類を見ない価値があるという誇りと自信を持ってもらうことが大切だと思います。 そこで、山の日全国大会の開催も踏まえ、本県の強みである自然環境の保全と活用の今後の展開について、知事のお考えをお聞かせください。 続けて、ジオパーク再認定に向けた取組について伺います。 7年前の2013年9月24日、おおいた姫島ジオパーク、おおいた豊後大野ジオパ-クが日本ジオパークに認定されました。また、2017年の再認定審査を経て、昨年は第10回日本ジオパーク全国大会が本県で開催されました。 大会では全国全ての44ジオパークから関係者が集い、5千人を超える方々の参加がありました。姫島のキツネ踊りや、豊後大野市の豊勇會太鼓が披露されるなど、ジオパークが育んだ文化も発信できたと思います。私は、特に全国のジオパーク関係者がそれぞれの魅力を伝えるポスター発表が印象的でした。専門員やジオパークガイドだけでなく、他県から参加してくれた高校生が、自らのジオパークについて自信を持って説明する姿は本当にすばらしかったです。 さて、全国大会から1年が経過しました。先日は体感!GEO(ジオ)パークが大分駅前で行われていました。石橋のミニチュア組立て体験などを多くの方々に楽しんでいただいたところです。ジオパーク学習は、地形、地質からの学びはもちろん、その基礎となる地理的条件の上に育まれた歴史や文化、そして食などを体感することに醍醐味があります。今後も持続的な取組が重要だと思います。 10月からフジテレビのアニメサザエさんのオープニングで豊後大野ジオパークのジオサイトである緒方町の滞迫峡や清川町の岩戸の景、そしてジオサイトの恵みに根差した文化である千歳町のひょうたん祭りが紹介されています。これまでは地域住民にとって、以前からそこにある当たり前の景観や出来事だったものが、今は特別で取って置きの場所、そして文化として自信を持って紹介できるようになりました。これはジオパーク認定によって得た大きな価値だと思っています。 ちなみに、これまでジオパーク学習をしてきた豊後大野市内の小、中、高校生の全員が、柱状節理という言葉を知っているだけにとどまらず、その成り立ちなどを理解していることは、他の地域にはない特徴だと思っています。 さて、このような姫島、豊後大野のジオパークの取組ですが、来年度は4年ごとに行われる2回目の再認定審査を迎えます。前回の審査では、地域資源のさらなる活用を指摘された一方、県と地元との連携体制については高い評価を得たと聞いています。 そこで、昨年の全国大会やこれまでの活動を踏まえ、今後の再認定に向けての県の取組や支援についての考え方を伺います。 ○嶋幸一副議長 広瀬知事。 ◎広瀬勝貞知事 自然環境の保全と活用について、まず私からお答えします。 本県は、山野や河川、海岸線など、豊かな自然に恵まれています。また、日本一を誇る温泉資源は、おんせん県おおいたを支える財産です。この多様な地域資源を活かし、学術的価値の高い地形地質を活用する豊後大野と姫島のジオパークや自然と人間社会の共生を目指す祖母・傾・大崩ユネスコエコパークなどの取組を行っています。 新型コロナがもたらした集中から分散、都市か地方へという価値観の変化により、自然やアウトドア志向が高まっています。長者原ビジターセンターや豊後大野市のロッジきよかわでは激減していた利用者が8月以降回復しています。別府市や竹田市では、温泉や自然に囲まれた地域で休暇を楽しみながら働くワーケーションの問合せが増加しています。このような状況を好機と捉え、三つの視点で取り組んでいきます。 一つは、自然環境の保全です。全国有数の面積を誇る自然公園では、法令に基づき木竹の伐採や工作物の設置等の規制を適切に実施します。また、絶滅危惧種等の学術調査やモニタリング調査を行うとともに、自然観察会等環境保全活動を行うNPO等と協働で豊かな自然を将来へ継承していきます。さらに、みどり豊かな森林を守り育てるため、県民総参加の森林づくりも推進しています。 二つは、次世代の担い手の育成です。美しい自然は豊かな心を育みます。県民に浸透している、おおいたうつくし作戦の取組を通じ、環境保全意識のさらなる醸成を図っていきます。中でも子どもたちが自然環境の大切さを学ぶことが大事です。エコパークでは小学生がキャンプで交流を深めながら、自然環境への関心と郷土愛の醸成を図っています。また、高い評価を受けているジオパークの教育活動では、延べ1万人を超える子どもたちがジオ学習に取り組んできました。 三つは、誘客の拡大です。豊後大野市の川上渓谷などエコパークの見どころを巡るお勧めルートの設定や分かりやすい案内板等の設置を進めています。また、昨年開催した日本ジオパーク全国大会で好評だったジオツアーや地域交流の成果も活かし、さらなる誘客を図っていきます。 いよいよ来年8月には、本県で第5回山の日記念全国大会が開催されます。くじゅう連山をはじめ、自然、山、温泉など本県の魅力を全国に発信していきます。また、野焼きなど自然を守り育んできた人々の営みをたたえ、未来に引き継いでいくことの重要性をアピールします。今回初めて地元手づくりでおもてなしをする宿泊型エクスカーションも実施します。 パラダイムシフトを前向きに捉え、地域の皆さんと力を合わせながら、世界に誇れる自然環境を将来の世代に継承できるよう、保全と活用を車の両輪として進めていきます。 ○嶋幸一副議長 高橋生活環境部長。 ◎高橋基典生活環境部長 ジオパーク再認定に向けた取組についてお答えします。 前回の再認定で指摘された課題として、豊後大野は道の駅との連携の推進、姫島はストーリーの再構築などがあります。現在、それぞれの推進協議会が課題解決に取り組んでおり、県、市、村も連携して定期的に進捗状況を確認しています。 道の駅との連携については、豊後大野市内五つの道の駅との議論が進んでいて、道の駅を起点としてジオサイトを巡る見どころマップを作成中です。 再認定審査では、昨年の全国大会の成果を将来につなげていく取組の実績も評価対象となっています。 そこで、県では8月1日から2日に体験型子ども科学館O-Laboで、ジオパーク講座を実施しました。また、全国大会から1年となる10月31日から11月1日にかけては、さきほど議員から御紹介いただいた大分駅前で九州の八つのジオパークが参加した、体感!ジオパークを開催し、想定を大きく上回る700人の参加があったところです。参加者からは、ジオパークはおもしろい、現地に行ってみたいなど、新たに関心を持つ声も多く、ジオパークのファンは拡大していると考えています。 以上のとおり、再認定に向け、課題の解決は着実に進んでおり、県としてはホームページの改修やジオサイト解説板の整備等も引き続き支援しながら、地域主体の持続可能なジオパーク活動につなげていきたいと考えています。 ○嶋幸一副議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 ありがとうございました。 自然の魅力いっぱいの大分県、多くの方が関心を持ってくれていると思いますし、このコロナ禍にあって、移住施策等にもしっかり役立てていただきたいというのが我々の願いです。ワーケーション等の取組がもっと進んでいき、それが現実的にまた地域の活性化につながることを期待しています。 その中で、濱田先生も楽しみにされていたかと思いますが、山の日全国大会が来年に延期されましたが、例えば、玖珠の山々とか花公園もそうですが、特に玖珠の山々、濱田先生がメサと言っていました、あれも地形地質はものすごく価値のあるものだなと、ジオ的な視点で見ると非常におもしろい地域だと思います。 そういったことで、ジオパークに関連することで申し訳ないですが、今、姫島と豊後大野がジオパークに認定され、子どもたちはそういった視点で周りの日々の暮らしを営む大地を見ているんですよね。これは非常に価値が高いことだと思います。どの町の町史とか市史、歴史の本を読んでも、一丁目一番地は地質地形なんですね。その上に育まれる文化だったり、食だったりするので、まずその一丁目一番地を知ることが重要だと考えます。そういった教育効果があるジオパーク学習について、今、県内2か所ですが、認定は別として、しっかり勉強できるような環境を整えることが重要だと考えていますが、それに関してコメントがあったらお願いします。 ○嶋幸一副議長 高橋生活環境部長。 ◎高橋基典生活環境部長 ジオ学習の場所として、さらに今指定されているジオパーク以外の箇所も加えていってはという御質問かと思います。 議員御指摘のとおり、子どもたちが地域の地質、歴史、あるいはそこにある伝統文化に触れ、その地域をよく知り、また成長していくことは非常に重要なことですし、地域に愛着を持ち、さらにその地域とともに成長していくということで、重要なことだと思っています。 したがって、今の枠組みとしては、ジオパーク館でのジオ学習となっていますが、それ以外のエリアで地質的な学習機会に非常に優れている地域があったら、そういったものも含め、ジオ学習ができるかどうか、そこは少し検討させていただければと思います。 ○嶋幸一副議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 非常にいいものが周りにあって、それを知らないのはもったいない感じがしているので、ぜひそのような視点で見ていただければと思います。 これは子どもたちだけでなく、大人にも共有しますが、先日、豊後大野のジオパークガイドの新規に勉強されている方の実践がありました。実際にガイドを初めてやってみるということで、17名がガイド実践をやりました。受講されているのは今年27名いるということで、非常にうれしく思います。その17名のガイドを目指す方々、年齢層は20代から89歳の方までおられ、非常に熱心に勉強され、自分の思いを込めたガイドをしっかりやってくださり、私も大変勉強になりました。 そのサイトの一つが菅尾磨崖仏でも説明を受けましたが、先日、今お話にあった道の駅を拠点としてウォーキングマップを作ると言いましたが、JR九州の企画で、菅尾駅を降りて道の駅、そして菅尾磨崖仏をぐるっと一周巡るというウォーキングが先月開催されました。実はそれに500名の方が参加されたと聞いています。非常に興味を持ってジオサイトを見ていただいたことがあったので、そういった視点でこれからまたサイトを活用していけると本当にいいなと感じているので、引き続き御支援をお願いします。 次の質問に移らせていただきます。 次は土木行政の課題について伺います。 まず、国東高等学校環境土木科の取組についてです。 本年7月の豪雨災害では日田市、玖珠郡、由布市などにおいて甚大な被害を受け、今もなお復旧、復興に向けた様々な取組が現場で行われています。 復旧、復興に向け、国、県、各市町村の技術職員、そして測量や設計コンサルタント、土木建設業者の土木技術者の皆さんが連携をとりながら住民皆さんの安全と安心確保のために、道路や河川の復旧に連日取り組んでいただいています。 しかし、近年、災害復旧工事などにおいて、設計ができ上がり、発注するものの、入札段階における不調、不落札が多いことが課題となっており、その原因として、現場を管理する土木技術者が不足していると多くの方から聞きます。また、発注側の自治体などからも技術職員の募集をしても応募がなく、事業執行に支障があるとの話も伺っています。 私は、これまでも3回、一般質問において高等学校における土木技術者育成について議論しました。その中で、本年4月、国東高等学校環境土木科が新設されたことは本当にありがたいことだと思います。 先日、木付議員と私は国東高等学校の調査に伺いました。ちょうど測量の実習をしており、機器の据え方や器具の使用方法、測定数値の読み取りなど現場の基本を学んでおり、先生も丁寧に、かつ楽しく授業を進めていました。また、現在の土木現場に対応するドローンなどの新しい機器や材料試験技術を学ぶ実習棟の整備など、環境整備も進んでいるとのことです。 現在、学校では環境土木科の学校説明会を国東市や大分市内で開催するなど、魅力発信を行っています。10月末にホルトホール大分で行われた説明会にも木付議員と一緒に参加しましたが、ここには大分市などの中学生9名が御家族と参加していました。また、測量設計コンサルタントや建設会社など多くの方々も参加されていました。今年は30名の定員に対し、女子生徒3名を含む16名が入学し、今学んでいますが、同校の魅力を御理解いただき、多くの生徒が入学することを期待しています。 現場で働く土木技術者の育成、確保に同校の果たす役割は非常に大きいと思います。本年より設置された国東高等学校環境土木科における現在の取組状況と卒業年次を見据えた今後の指導体制について、教育長の御見解を伺います。 ○嶋幸一副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 国東高等学校環境土木科の取組についてお答えします。 現在、農業と土木の基礎を学んでいます。座学に加え、従来の平板測量、ドローン測量に向けた操作練習はもとより、10月の全国産業教育フェアでの国東地区の水循環をテーマにしたジオラマの制作展示、11月18日、土木の日ですが、行入ダム堤体内部やため池改修工事の現場体験学習などに取り組んでいます。 生徒への授業アンケートを見ると、積極的に取り組む姿勢が顕著であり、「体験型の授業が楽しい」などの感想が寄せられています。 来年度には必要な全ての施設設備が完成する予定であることから、コンクリート強度や水圧の測定などの実践的な学習が可能となります。2年生になると地元企業でのインターンシップやドローンによる三次元測量、ICT建機による施工など最先端技術に触れる、より専門的な授業を受けるとともに、測量士補などの資格取得に挑戦していくことなります。 就職については、既に関係業界や官公庁から高い期待が寄せてられており、進学も含め、総合的な土木の技術、技能はもとより、環境保全、防災の視点も持った優秀な人材の育成に取り組んでいきたいと考えています。 ○嶋幸一副議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 ありがとうございました。今、教育長が言われたように、官公庁、県、市町村、そして国の公務員、そういった技術者が不足しているということで、そちらからも注目されています。当然業界からも注目されているので、16名の生徒は引っ張りだこという形になるのではないかといったことを期待しています。 そういう中、一方で、先日、大分工業に土木科がありますが、そこと関係する塾の先生にお伺いしました。ああいうところは倍率が高いので、大分市内では大分工業と鶴崎工業しかなく、土木の学科に行きたいけど、点数を高く取らないと入れないから、塾の先生からも意外と土木とかはレベルが高いんですよという説明があると聞いています。そういったニーズがあるけど、入れない方がこれまでもいらしたのではないかと思うし、また豊肥地域では、土木に関して空白地域になっています。三重総合高校の明日を拓く会も毎年、要望の中で何とか土木技術を学ぶコース、10人でもいいので、土木系のコースをつくっていただけないかという話も出されていますが、それについて現在の取組状況がどうなっているのか教育長に伺います。 ○嶋幸一副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 三重総合高校への土木系学科コースの設置についてですが、三重総合では昨年度12名が測量の授業を選択し、その中には総合選択制ということで当然普通科の生徒も学んで、その生徒が土木系の企業に就職もしています。今年度も12名の選択者のうち、1名が土木系企業への就職が内定していると聞いています。 その一方で、本年度入試における豊肥地区の中学生の進学先では、残念ながら土木系の学科はゼロでした。また、この7月の中3生の進路希望調査でも同様の状況でした。国東もまたゼロからスタートした状況ですが、そういう意味でも1年目で16人入ってくるのは大変ありがたいのですが、これをさらに定員を満たすようにまずしっかり取組んで、その知見なり効果なりをまた次につなげる形にしていけば、三重にも希望する人が増えてくるのではないかと期待しています。 ○嶋幸一副議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 確かに豊肥地域の中学生の数が少なくなっていることもあり、またこれまで土木系の学校がなかったこともあって、そういった方向に進む先輩方が周りにいないこともあるだろうし、また、そういう学科ができれば、大分市から進学の可能性もあると思います。県内各地域に満遍なく学ぶことができるコースがあるということもぜひ考えていただけないかと思っています。今、3年生で選択し土木系を学べるということですが、もうちょっと早い段階で学ぶことができないか、そういったことも来年度検討できないか見解を伺います。 ○嶋幸一副議長 工藤教育長。 ◎工藤利明教育長 測量の授業を選択することはできるだけ幅広くやっていきたいと思います。また、逆に受入れができるとなれば、そこに中学生の希望も生まれることになるかと思うので、次にはそこをしっかり考えていく必要もあると考えています。来年に向けては、まず国東にしっかり入れる、おかげさまで寮もできて、大分市の希望者もいるので、来年30人の定員をしっかり確保できればいいなと思っています。かなり期待感もあるようなので、まずそこをしっかりして、次に三重総合でどう展開するか、しっかり取り組んでいきたいと考えています。 ○嶋幸一副議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 ぜひ前向きな取組をお願いしたいと思います。指導する先生、また機器の問題等もあるかと思います。引き続き御検討いただきたいと思います。 それでは、次の質問です。さきほどお話しした不調、不落についてです。 土木現場では入札時における不調、不落札の問題が特に農地農業用施設に係る事業で発生していることが大きな課題となっています。 被災地において、次期作に向け、早期に復旧する必要があるにもかかわらず、事業が執行されないことは農業経営にも深刻な影響を与えます。 さきほど申した土木技術者不足も不調、不落札の一つの要因ですが、その他に設計段階における事業費の積算が挙げられます。設計積算での標準歩掛かりや単価、そして諸経費が現場の施工状況と異なり、施工業者としては発注金額以上の経費がかかるため、経営的に受注が難しいとのことです。 特に本県のように山間部が多い地理的条件を抱えている地域では、使用される機械や現場までの工事仮設道路、条件の悪い現場での手間のかかる作業など、標準歩掛かりで想定されない小規模工事が多いため、前段階の作業に伴う経費負担が生じてしまうこともあり、経費が折り合わず不調、不落札が多く発生する原因になっていると考えられます。 今後の農業農村整備事業の円滑かつ計画的な執行のためにも、不調、不落札の防止に向けた取組が必要と考えますが、農林水産部長の御見解を伺います。 ○嶋幸一副議長 大友農林水産部長。 ◎大友進一農林水産部長 農業農村整備事業における入札不調、不落札についてお答えします。 令和元年度の県全体の不調、不落の発生率は10.5%です。そのうち農業農村整備事業は25.1%となっており、その要因を聞くと、約6割が現場代理人、あるいは技術者等の人材不足ということです。そのため、県では現場代理人の兼務、あるいは余裕工期の設定を行うとともに、週休2日工事の試行などの対策を実施しています。 一方、設計積算については、例えば、圃場整備では、標準歩掛かりに示されている規格のブルドーザー等を地形の勾配や、区画の規模によって現場で使用できない場合があったり、ため池の盛土では所定の高さごとに締固めと透水試験をやっていきます。きめ細かな施工管理が必要ですが、作業量が盛土の高さによっては標準歩掛かりに合っていない場合も見受けられています。 このため、国において施工地域、例えば山間、へき地だったり、市街地交通の影響のあるところを考慮した諸経費の補正を行っており、その諸経費の補正について国が今年度改訂を行ったので、県としては新たに中山間地域で実施する工事の諸経費加算、補正をこの8月から適用したところです。 加えて、先月は国に対し、現場の実態に即した圃場整備に係る設計積算となるよう見直しを要望したところであり、引き続きそういった働きかけを行っていくとともに、受注者からの要望を踏まえ、ドローン等を用いた3次元測量データによるICT活用工事にも積極的に取り組み、省力化による生産性の向上を図りながら、農業農村整備事業の計画的な事業実施を進めていきたいと思っています。 ○嶋幸一副議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 ありがとうございました。我々自民党会派も先日、九州農政局、そして農林水産省でもこの件について要望してきました。小規模工事の現場に即した積算について、今後もしっかりやってほしいということで、一緒になって農水省にお願いしていただきたいと思います。 次に交通ネットワーク整備についてです。まず、中九州横断道路の整備促進について伺います。 中九州横断道路は、昨年1月に朝地-竹田間が開通し、現在、竹田-阿蘇間22.5キロの事業が進められており、熊本県内でも滝室坂道路などにおいて事業が着実に進められています。物流や観光、そして災害時の広域連携などにおいても非常に重要な路線となっています。 一方、県内で事業化されていない区間として、大分-犬飼間があります。関係自治体で組織する中九州・地域高規格道路促進期成会、そして豊肥・地域高規格道路建設促進期成会、それぞれが早期に計画段階評価のステージに上がることを願っていますが、現在の状況と今後の見通しについてお聞かせください。 あわせて、犬飼インターから大分方面の犬飼バイパス本線へ合流するところがありますが、ここの見通しが悪く、危険なため改善の要望を以前から住民の皆さんと行っています。本年度事業着手と聞いていますが、現在の状況と今後の見通しをお聞かせください。 続いて、県道三重新殿線バイパスについて伺います。 中九州横断道路と豊後大野市中心部を結ぶのが三重新殿線バイパスです。平成10年の事業開始から20年以上が経過し、市民も早期の全線開通を熱望しており、3年前、内田工区が完成し、来年度には秋葉内田工区が供用予定となり、残すは牟礼前田工区の約3キロ区間です。大野川を渡河する橋梁などの大構造物の施工に向けた準備も順次進められていると聞いていますが、現在の進捗状況と供用開始の見通しをお聞かせください。 また、赤嶺工区と内田赤嶺工区を結ぶ立体交差地点が赤嶺高架橋南交差点になりますが、これは現在中断されている状況で、非常に信号や道路のカラー舗装など分かりにくいという課題があるところです。この立体交差事業は中断している状況に見えますが、今後の計画をお聞かせください。 ○嶋幸一副議長 湯地土木建築部長。 ◎湯地三子弘土木建築部長 交通ネットワーク整備について2点御質問いただきました。 まず、中九州横断道路の整備促進についてお答えします。 中九州横断道路は、県都の大分市と熊本市を結ぶ重要な路線であり、これまでに犬飼-竹田間約25キロが開通し、現在、竹田阿蘇道路など3区間で整備が進められています。 全線がつながることにより、大分港、別府港等を通じ、豊後大野市や竹田市、さらに熊本と全国との間で人、モノの流れが一層活発になることが期待されます。 また、沿線には温泉や自然、歴史的文化遺産など、優れた観光資源が豊富にあります。移動の時間が短縮し、定時性が確保されることで、より魅力的な広域観光を楽しんでもらえるものと思います。 沿線の皆様からは、このような効果に加え、通勤や救命救急、災害時の物資輸送など、早期整備に向けた期待の声を多くいただいています。県としては、事業化されていない大分-犬飼間の来年度からの計画段階評価実施に向け、議会の皆様方や期成会、経済界と心を一つにして国に強く要望しているところです。引き続きお力添えをお願いします。 なお、犬飼バイパス本線への合流箇所は、今年9月から国が加速車線延伸工事に着手したところで、県としても早期完成を働きかけていきます。 次に、県道三重新殿線バイパスについてお答えします。 延長約3キロの牟礼前田工区は、平成30年度に用地取得が完了したことから、昨年度、進入路や軟弱地盤改良などの工事に着手したところです。今年度は掘削や盛土、用排水路の付け替え工事をはじめ、交差する道路をまたぐ橋梁やボックスカルバートなどの構造物工事を進めていきます。これらとあわせて、工事に必要な埋蔵文化財発掘調査や大野川を渡河する橋梁の詳細設計なども行っています。 今後も工程管理を綿密に行いながら、令和初年代半ばの開通を目指します。 また、赤嶺工区と内田赤嶺工区を結ぶ立体交差については、まずは県道三重新殿線バイパスの全線開通に向け事業を推進し、開通後に利用状況の確認や事業化に必要な整備効果の検証を行う予定です。 ○嶋幸一副議長 森誠一君。 ◆森誠一議員 ありがとうございます。大分-犬飼間は早期に計画段階評価に上げていただきたいということで、我々議会も、また知事と同じ思いで進めていっていると確信しています。 私どもも先日、国交省等にお願いに参りました。思いは一緒ですので、早期完成に向け、共に推し進めてまいりましょう。よろしくお願いします。 そして、三重新殿線バイパスに関してです。 豊後花咲きロードという愛称もつけ、地域の人に愛される道、そして早く供用開始されることが地域の経済発展につながることと思います。路線の早期供用に向け、引き続きの土木建築部はじめ、関係者の皆さんの御指導、御協力をいただきたいと思います。 以上で私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手) ○嶋幸一副議長 以上で森誠一君の質問及び答弁は終わりました。 本日の一般質問及び質疑はこの程度にとどめたいと思います。これに御異議ありませんか。  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○嶋幸一副議長 御異議なしと認めます。 よって、本日の一般質問及び質疑を終わります。  ------------------------------- ○嶋幸一副議長 以上をもって、本日の議事日程は終わりました。 次会は、明日定刻より開きます。 日程は、決定次第通知します。  ------------------------------- ○嶋幸一副議長 本日は、これをもって散会します。     午後3時24分 散会...